更新日: 2021.07.27 14:05
『アウディRS Q e-tron』が始動。2022年のダカールに挑む電動ラリーカー
電動パワートレインを搭載する車両では珍しくないシングルギアがアウディRS Q e-tronにも採用された。
フロントアクスルとリヤアクスルは機械的に接続されておらず、このためアウディは、前後アクスル間のトルク配分を制御し、自由に設定可能なバーチャル・センターディファレンシャルとして機能するソフトウェアを開発した。これによってプロペラシャフトや機械的なディファレンシャルを省くことができ、重量とスペースを削減できるという2次的なメリットも生み出されている。
ルーフ上に配置された巨大なエアインテークが目を引く外観は、従来の内燃エンジンを搭載したダカールプロトタイプと大きく異なっている。アウディ・モータースポーツデザインのチームリーダー、フアン・マヌエル・ディアスは、RS Q e-tronのデザインについて次のように語った
「このクルマは未来的な外観を備え、アウディならではの多くのデザインエレメントが採用されている。私たちの目的は、“Vorsprung durch Technik(技術による先進)”および未来のアウディブランドを象徴するデザインを生み出すことだ」
ドイツ車メーカーによるダカールラリーへの参戦は、Qモータースポーツと強力して実施される。同チーム代表のスヴェン・クヴァントは、「アウディは、つねにレースで新しい大胆な道を選んできた」とコメント。
「今回のクルマは、私がこれまで見た中でもっとも高度なクルマの1台だと思う。電動ドライブトレインは、多くの異なるシステムが相互に通信する必要がある。ダカールラリーでもっとも重要な信頼性に加えて、これは今後数カ月における私たちの最大の課題となるだろう」
7月初旬に行われた初回のテストでは、DTMとWorldRX世界ラリークロス選手権でシリーズチャンピオンを獲得したマティアス・エクストロームがステアリングを握ったアウディRS Q e-tronのプロトタイプは今後、年末までの間に集中的なテストプログラムと、クロスカントリーラリーへの最初のテスト参戦が計画されているという。
「このプロジェクトのスケジュールは非常にタイトだが、その分やりがいがある」と語ったアウディスポーツ・ダカールプロジェクト責任者のアンドレアス・ルース。
「プロジェクトが正式に開始されてから、まだ1年も経過していない。我々は代替エネルギー車に関するレギュレーションがまだ確定していない段階から開発を始めなければならなかった。そして、開発の途中で新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生した。この影響を過小評価してはいけない」
「私たちのチームは、類まれな開発作業を達成したのだ。そのため、このクルマで走行テストを開始できたことは、チーム全員にとって特別な瞬間だったと言えるんだ」