更新日: 2024.06.21 20:39
「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も
2位表彰台を獲得した7号車には、予選でのタイム抹消やウォームアップ走行での他クラスとの接触などもあったが、新たな状況をつねに見極めながら、できることを最大限に行えたという実感が可夢偉代表には籠っていた。改めて、勝つには何が必要だと感じたかという問いに対し、優勝まであと一歩という実感と来年へ向けての自信が現われてきた。
「今年も、あと一歩だったなと思います。実際に勝てるという実感もありましたし、最後のピースをもう少しうまくはめるだけだと感じていて。」
「8号車がだめでも、後ろの7号車がすぐにトップ争いに入れるという展開に持ち込めたので、これはチーム全体がすべてを引き出していたということだなと感じています」
「7号車に起きた2度のパンクとパワーダウン(吸気温センサーのトラブルだったという)も、ドライビングではどうしようもできないところでした。なので、今回は少しだけ運が悪かったなというのが本音です」
「ただ、運に頼ってばかりでもいけないので、この24時間レースを勝ち切るチームをつくるにはどうしたらいいのか、というところをさらに突き詰めていきたいと思っています」
この会見が行われた時点では、チェッカーフラッグが振られてからまだ5日。レース終了から一週間弱という間もない状況だが、チームはすでに改善のための動きを始め、来年のル・マンでのリベンジを見据えているという。
「すでに来年に向けてのミーティングも始まり、自分たちがどんなことができたらよかったのかという洗い出しも行いました。僕は昨日もひとつレポートを仕上げて、さらにもうひとつに追われながら、すでに翌年に向けて動いているところです」
「具体的に何をやっているかというところは言えませんが、来年は自信があります。僕らがもっと速くなれる方法も分かっていて、課題も見えているんです」
『自信がある』、そう力強く語る可夢偉代表は、とくにエンジニアとドライバーとのコミュニケーションのクオリティを重視したい、とその自信の根拠を明かす。
「やっぱり良いクルマを作るという時には、僕らドライバーがコメントをしているだけではできてこないんですね」
「エンジニアさん側も、僕らがどういう部分をコメントしているのかという細かいところを、ちゃんと理解するまでコミュニケーションを取らないといけないと思います」
「それは簡単に言うと『ヒトを育てる』ということで、これからはそれがさらに高いレベルで必要になってきます」
「なので今僕らは、感覚を語るドライバーとデータを見るエンジニアの、両方の意見をいかに融合させるのかというところに取り組んでいて、今後もさらに力を入れていきます」
2012年のル・マン24時間レース復帰から続く、13年目の挑戦を終えたトヨタ。2018年から2022年までの5勝をマシンとチームワークのクオリティの証とするならば、可夢偉代表が口にした『ヒトを育てる』ことの意味は、ふたたび頂点に返り咲くための仕上げだろう。新たな筋道を歩み出したTGRの行く末は、2025年ル・マンの勝利に繋がっているだろうか。