ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.07.16 17:19
更新日: 2024.07.16 19:52

レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝後Topics】


ル・マン/WEC | レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝後Topics】

 マンタイ・ピュアレクシングのトリオは、姉妹車91号車ポルシェ(マンタイEMA)のヤセル・シャヒン/モーリス・シューリング/リヒャルト・リエツ組が、序盤のアクシデントを引きずりノーポイントに終わったことに助けられ、LMGT3のドライバーズランキングで単独首位に浮上。25ポイントのリードを築いた。このレースが始まる以前は、91号車と92号車の両クルーが75ポイントで並んでいた。

 LMGT3クラスで今季2度目のポールポジションを獲得し、レースの序盤をリードした85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・デイムス)は、ウォーターパイプの固定具が破損したことによるフルード漏れのため、リタイアを喫することとなった。

「ウォーターパイプのチューブを失ってしまった。おそらく熱によるものだと思う」とラヘル・フレイはSportscar365に説明した。「それがピットストップで起きたのはとても奇妙に思う。1ユーロ(約170円)もしないパーツだけど、このようなトラブルを見たのは初めて。モータースポーツの残酷な部分ね」

 彼女は「(92号車)ポルシェには勝てなかっただろうけど、2位になることは間違いなく可能だった。またしても0ポイントに終わりイライラし始めている! 今年のWECは私たちのシーズンではなかったみたいね」と続けた。

「ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでは少なくとも(第3戦イモラでの勝利で)好転できたし、WECでも好転を期待していたのだけど……」

レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝日Topics】
クラス2番手を走行中、マシントラブルでリタイアとなった85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・デイムス) 2024年WEC第5戦サンパウロ6時間

■来季開幕戦までおあずけ

 チームWRTのプリンシパルであるヴァンサン・ボッセは、マキシム・マルタン/バレンティーノ・ロッシ/アハマド・アル・ハーティ組46号車BMWが優勝したマンタイ・ポルシェから2周遅れのLMGT3クラス5位でフィニッシュした後、M4 GT3のパフォーマンスに不満を示した。

 ボッセはレース後、「ノーエラーだったのにもかかわらず、46号車が5位という結果になってしまうということは、ライバルと比較してスピードに問題があるということだ」と語った。

 クリスチャン・リードがLMGT3のプロトン・コンペティションで一度限りの復帰を果たしたことで、このドイツ人はWECの出場レース数を最多の「86」とした。トヨタのブエミは、リードの“引退”にともない今シーズン中に彼の記録を追い超す予定だったが、来季2025年の開幕戦カタールまで持ち越されることとなった。

 今大会のリタイアはわずか3台で、第2戦イモラと同じく33台が完走を果たした。アイアン・デイムズのランボルギーニ以外にリタイアしたのは、エンジントラブルに見舞われた11号車イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6・コンペティツィオーネ(イソッタ・フラスキーニ)と、レース後半に突如駆動力を失った小泉洋史組82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)だ。後者のストップでは、レース全体で3回あったフルコースイエロー(FCY)のうち2回目が出されている。

レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝日Topics】
46号車BMW M4 LMGT3(チームWRT) 2024年WEC第5戦サンパウロ6時間

■性能調整に関するコメントで最初の違反

 トヨタのチームディレクターであるロブ・ロイペンは、WECのスポーティングレギュレーション6.2.1条で禁止されている、BoP(性能調整=バランス・オブ・パフォーマンス)に関するコメントをメディアに漏らしたことで、WECのスチュワードとトラブルになった最初のパドック関係者となった。

 問題となった記事は、『Motorsport.com』のオランダ版とイタリア版に掲載されたもの。その中でロイペンは、ACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟が「透明性のない」BoPプロセスを採用していることを批判。今後のルールの決め方にさらなる「誠実さ」を求めた。

 これに対してスチュワード(審査委員)は、「これらの発言はFIAの公平性に疑問を投げかけ、その誠実さに疑念を抱かせ、道義的な損害をもたらすものである」とした通達を発表した。

 処分は1万ユーロ(約170万円)の罰金で、トヨタの関係者が同様の発言をしないことを条件に今シーズン中の執行猶予が与えられた。スチュワードの通達によると、性能調整に関する公然の議論を禁じるルールが適用されたのは今回が初めてだったため、ロイペンには寛大な処分が与えられた。しかし、今後の違反者はそれほど幸運に恵まれないかもしれない警告している。

レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝日Topics】
元F1ドライバーのルーベンス・バリチェロ(左)とセバスチャン・ブエミ(右/TOYOTA GAZOO Racing) 2024年WEC第5戦サンパウロ6時間

■観客数が大幅増

 グッドイヤータイヤを履くLMGT3クラスの最速スティントアベレージ・アワードである“ウイングフット賞”は今回、ハート・オブ・レーシングチーム(27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3/クラス2位)のアレックス・リベラスに贈られた。

 ビスタAFコルセのアレッシオ・ロベラ(55号車フェラーリ296 GT3)は『2024グッドイヤー・ウイングフット・エンデュランス・アワード』で、チームWRTのアウグスト・ファーフス(31号車BMW M4 GT3)を2ポイント差でリードしているが、両ドライバーとも今シーズンはまだ個人賞は獲得していない。

 レース主催者の発表によると、10年ぶりの開催となった今大会の観客数は3日間合計で7万3205人。前回2014年にWECがブラジルを訪れた際の5万5000人を大きく上回った。地元出身のルーベンス・バリチェロなども訪れていたレースの決勝は、同じく元F1ドライバーのタルソ・マルケスが国旗を振りスタートの合図を送っている。

 第5戦が終了したWECの次戦は、アメリカ・テキサス州オースティンで開催される『ローン・スター・ル・マン』だ。8月30日から9月1日にかけて、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われる同6時間レースは、2019/20年シーズン以来の開催となる。

レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝日Topics】
【ポイントランキング】2024グッドイヤー・ウイングフット・エンデュランス・アワード 第5戦サンパウロ終了時点
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レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝日Topics】
ウイングフット・アワードを受賞したアレックス・リベラス(ハート・オブ・レーシングチーム) 2024年WEC第5戦サンパウロ6時間
レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝後Topics】
27号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(ハート・オブ・レーシングチーム) 2024年WEC第5戦サンパウロ6時間
レースの残酷な部分/BoP発言でトヨタ幹部に罰金/2位になれたはず etc.【サンパウロ決勝日Topics】
3日間で7万3000人以上が訪れたインテルラゴス・サーキット 2024年WEC第5戦サンパウロ6時間


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