更新日: 2017.07.18 17:08
「終わりだ」地獄から歓喜のル・マン勝利へ。そしてこれから…… ティモ・ベルンハルトインタビュー
■次なる目標はワールドチャンピオン。その後は……!?
──その後ライバルにもトラブルが起きますが、いつごろから現実的に優勝を目指せるという感触を受けましたか?
TB:エンジニアらとデータを見ながら、チェッカーフラッグを受ける時間までにできることを、さまざまな観点から何度も分析し、シミュレーションをしていた。LMP2の14周遅れを走っていた19時間を経過したころから、これはもしかして……という感じが実はあったんだ。途中で起きたフルコースイエローやトヨタのトラブル等、すべての出来事から少しずつ現実味を帯びはじめた……という感じだね。あるエンジニアの分析では、実際にそうなったように『最後の1時間でLMP2を抜ける』、また他のエンジニアは『チェッカーが出る3〜4分前、つまりファイナルラップかその直前で抜けるかも』という計算だった。いずれにせよ、本当に最後の1時間が2号車にとって勝負の時だったんだ。
──24時間の間に奈落の底に落とされ、そこからの復活、まさかの逆転優勝と激動の一日でしたが、その間にチームメイトのふたりと話しあったことなどありましたか?
TB:ドライバーとして、ほんの小さなことさえも気にしながら、慎重に走ることを自分たちで強制したんだ。ふたりの“キウイボーイ”(ニュージーランド出身のブレンドン・ハートレーとアール・バンバー)とクルーたちとも結束し、トラブルのあとはとにかく一歩ずつ慎重にゴールを目指そうということだけに集中してラップを重ねたよ。『自分だけのために走っているのではない』ということは肝に銘じたね。
──ル・マンの優勝に続いて、次に目指すのはやはりワールドチャンピオンの座でしょうか。
TB:そうだね。そこはいちばんの目標だよ! 今はシリーズランキングのトップにいるけれど、ニュルでポールを獲ったようにトヨタは本当に速く、うかうかしているとランキングを逆転されるかも知れないという危機感はいつもあるよ。
──ベテランドライバーの域にも達し、一方でポルシェのWEC活動にはさまざまな噂も流れるなかですが、あなたの将来についてお聞かせください。
TB:まだシーズン真っただ中で、チャンピオンを獲ることだけに集中しているから、まだ何も考えていない。『考える余裕がない』というのが正直なところかな。ポルシェワークスドライバーになって今年で19年目を迎えるけれど、ポルシェはジュニア時代から私のモータースポーツ活動の拠点であり、“実家”みたいな存在でいられるのは、デビューしてから今も変わらずポルシェだけだ。他に移籍するつもりはまったくないと断言できるよ。