更新日: 2020.12.10 13:49
ThreeBond Drago CORSE 2020スーパーフォーミュラ第5、6戦鈴鹿 レースレポート
第6戦:粘りの走り!
全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第6戦が、12月6日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。今回は1大会2レース制で、前日の12月5日(土)にはシリーズ第5戦の公式予選と決勝レースが行われ、カルデロン選手は予選18番手からレースを始め、決勝レースでは13位で完走を果たした。
シリーズ第6戦は伝統ある“JAF鈴鹿グランプリ”の冠が与えられたレースとして開催され、このレースでは、通常のレースではスタートからフィニッシュまで100秒間使用できるオーバーテイクシステム(OT)が、特別に200秒使用できる規則となった。
公式予選
カルデロン選手は午前9時35分から始まった公式予選Q1(Bグループ)に出走した。鈴鹿サーキットは前日に引き続き快晴となったが気温は前日よりも低下した。
ニュータイヤを装着してコースイン、2周にわたって決勝レースに向けたスクラブを行いピットに戻り、再びニュータイヤを装着すると1周タイヤをウォームアップしてタイムアタックにかかった。
1周目、全てのセクターで自己ベストを記録して1分36秒764を叩き出し、前日のタイムを0秒885短縮した。その直後にチェッカーフラッグが振られ、そのまま2回目のタイムアタックに入ったがタイムは1分37秒144にとどまる結果となり、出走10台中10番手でQ2進出はならず、スターティンググリッドは18番手となった。
道上龍監督は「今日になってようやく、デグナー2つ目で少しアンダーステアだとコメントが返ってくるようになりました。これは車速が上がったということです。でも、まだセクター毎に少しずつ足りない。ただ彼女は前日同様に走るたびに速くなっているので、もし規則で許されていたなら36秒台が出たところで、もう1セット使ってアタックさせたらもっとタイムを縮められたでしょう」と語った。
決勝レース
12月6日(日)午後1時15分、決勝レースが始まった。鈴鹿サーキットは晴天となり、気温は前日とほぼ同じだが路面温度は24℃と前日よりも上がった。
18番手からスタートしたカルデロン選手は、スタートできなかった選手がいたためポジションを1つ上げてオープニングラップを終えた。
2周目、コース上でアクシデントが発生したためセーフティカーが導入されたた。更にセーフティカーラン中に脱落する車両が生じたため、カルデロンのポジションは15番手に繰り上がった。
レースは7周目からリスタートしたが、8周目に再びアクシデントが発生して再びセーフティカーが導入。この時点でカルデロン選手は13番手へポジションを上げていた。
セーフティカーラン中に、タイヤ交換義務消化のピットインが許される10周を終えたので、その時点で競技車両の多くが一斉にピットイン、カルデロン選手もピットへ向かった。ここでチームは素早くタイヤ交換を終えカルデロン選手を11番手に押し上げてコースに送り返した。
レースは13周目にリスタートし、カルデロン選手は後方からの追い上げにさらされながら周回を続けたが20周目3度目のセーフティカーが導入、23周目から再開した。
カルデロン選手の後方からは#15笹原右京選手(以後、笹原選手)が猛然と追い上げていた。伊与木仁エンジニアは「OT(オーバーテイクシステム)を使って逃げろ!」と無線でカルデロン選手を激励したが、#15笹原選手もOTを使ってカルデロン選手に迫る。
カルデロン選手は28周目に1分41秒045を記録して後続を振り切ろうとしたが、結局200秒のOTを使い果たして対抗できなくなり、最終ラップの第1コーナー進入で#15笹原選手のオーバーテイクを許して12番手へ後退。そのままチェッカーフラッグを受けた。
タチアナ選手コメント
「昨日の第5戦よりもうまく走れたので、今日のレースについてはとても満足しています。クルマのことが信頼できるようになって走り方も変わり、とてもスムーズに走れるようになりました。しかも、最後にいいファイトができました」
「最後はなんとかディフェンスしようと頑張りましたが、OTを使いきってしまい、しかもシケインでうまくブレーキングできなくて立ち上がりが鈍ってしまったため、ラストラップに抜かれてしまいました。でもいい戦いだったと思います」
「ヨーロッパでも戦っていたシャルル・ミレッシ選手よりも前でフィニッシュできましたし、わたしが進歩していることをチームも理解してくれたようで、とてもハッピーな気持ちで週末を終えました。もちろんまだ足りない面もあるので、もっとクルマのことを理解して自信を持って走れるようになる必要があります。次のレースではチームの期待にもっと応えられると思います」
道上監督コメント
「今日のレースはセーフティカー(SC)が3回も入って、リスタート直後のペースが上がらないなどの課題は残りましたが、SCが入っても走りが大きくぶれることもなく着実に順位を上げてチームのピット作業が速かったこともあり、あともう少しでポイントが獲れる領域にまで到達しました」
「今回、チャレンジングな鈴鹿で、ドッグファイトをしながらレースを走りきったのは素晴らしいことだと思いますし、チームとしてハッピーな週末でした。タチアナは走るたびにクルマに馴れて、その分速くなって、結果を見せてくれています。最終戦が行われる富士スピードウェイは、開幕前のテストで経験もありますし、事前にシミュレータなどで練習をさせて万全の体制で挑みたいと思います。」
伊与木エンジニアコメント
「今日はうまくピットインのタイミングが良いところ掴めてピット作業もすごく良かったこともありますが、順位を上げて本人もバトルの中に入って戦い、惜しいところでポイントは獲れませんでしたが、頑張ってレースの終盤でベストラップも記録して、いいレースでした」
「だんだんクルマに馴れて自分に足りないモノは何かが見えてきていると思います。何より素晴らしいのは、ここまでクルマを壊していないこと。彼女は充分スーパーフォーミュラで通用するということが証明できたのではないでしょうか。