横浜ゴム 2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ レースレポート
【全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦/ツインリンクもてぎ】
波乱の中で冷静さを貫いた大津弘樹選手が嬉しい自身初優勝、野尻智紀選手が宣言通りもてぎで初戴冠を決めた!!
2021年の『全日本スーパーフォーミュラ選手権』第6戦が、ツインリンクもてぎで開催。悪天候の中、ただ一人スリックタイヤでの予選アタックを成功させた大津弘樹選手(Red Bull MUGEN Team Goh)が初めてのポールポジションを獲得すると、セーフティカー(SC)が3度も登場する荒れたレースをものにし、スーパーフォーミュラ初優勝を飾った。また、シリーズタイトル争いは5位でフィニッシュした野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が最終戦を前に初のチャンピオンに輝いた。
今シーズン2度目のもてぎラウンドを目前に控えた15日(金)、野尻選手の記者会見が行われた。成績によっては最終戦を待たずにこのラウンドでタイトルが決定する野尻選手は、「『こんなにうまくいくのか、こんなに強いチームがあるのか』という気持ちで臨めています」と話し、ホームコースといえるもてぎでの戴冠に自信を見せていた。
迎えた16日(土)は朝からぐずついた空模様で、午前中のフリー走行は途中からウエットコンディションに。併催レース中も霧雨が落ちたりしていたが、13時35分にスタートした公式予選のQ1はドライコンディションで進んでいった。2組に分けられたQ1の、まずはA組。福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップでクリアすると、そこに大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)、大津選手が続く。B組では野尻選手のタイムに注目が集まったが、その期待に見事にこたえ、1分29秒757と、唯一1分29秒台をマーク。8月に自身で更新したばかりのコースレコードを破り、新たな記録を打ち立てた。
スリックタイヤでの全開アタックが可能だったのはここまでで、Q2はウエットタイヤでの争いに。A組では山下健太選手(KONDO RACING)、大湯選手、阪口晴南選手(P.MU/CERUMO・INGING)、大津選手がクリアするも、平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)がノックアウト。平川選手はスリックタイヤでスタート後、ピットに戻ってウエットタイヤに交換してからアタックしたが、スリックタイヤのままで何とか踏みとどまった大津選手が最終的に平川選手を上回って、Q3進出権にギリギリの4番手に滑り込んだ。予選でポールポジションを獲得すれば、逆転タイトルに望みがあった平川選手だったが、ここでチャンピオン争いから脱落することになった。
B組では野尻選手を上回り、関口雄飛選手(carenex TEAM IMPUL)がトップタイム。以下、野尻選手、山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)、牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がQ3進出を決め、いよいよ運命のポールポジション争いが始まった。Q2の時点で落ちていた雨はやみ、天候的には路面状況がじわじわと回復してくるコンディションだが、果たしてウエットタイヤとスリックタイヤのどちらが最適なのか、各ドライバーのタイヤ選択が注目された。7名がウエットタイヤでのスタートを選択した一方、大津選手のみがスリックタイヤでコースイン。
「Q2の微妙な路面状況でスリックタイヤを履き、その時のグリップの感触から考えてスリックでも行けると判断しました」と後に語る大津選手は、慎重にタイヤをウォームアップすると計測3周目にアタック。周りが1分36~37秒台に留まる中、1分33秒463で堂々のトップタイムをマークする。大津選手は更に翌周1分32秒317までタイムを削り、文句なしのポールポジションを決めた。フロントローには、昨年のシリーズチャンピオンである山本選手が、続く3番手には野尻選手が入った。