更新日: 2018.08.16 16:38
「50台のフルグリッドを目指す」鈴鹿10hに懸ける新たな挑戦。モビリティ山下社長インタビュー
──使用されるワンメイクタイヤメーカーの選定、2018年スーパーGT鈴鹿大会のカレンダーの調整等、いくつか課題はあるとは思いますが、今の一番の課題はどのような部分になりますでしょうか。
「タイヤに関してはワンメイク化といいますか、コントロールタイヤにせざるを得ない状況です。本来ならば、コントロールタイヤが最善の策だと思っているわけではありません。さまざまなタイヤメーカーさんが戦うコンペティティブな場であってほしいとも思っています。ただ、これだけいろいろなシリーズのクルマが参戦する中で、車種に加えてタイヤも違ってくるとさすがにBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)が成立しない。BoPをきちんと成立させないと、エントラントさんの方でも参戦を迷うことになり、とてもじゃないですけどフルグリッドの50台は集められません。我々としてはフルグリッドになる方を優先させて、そのためにコントロールタイヤを選ぶという考え方です」
「お客様にフルグリッドの迫力を感じていただくため、エントラントが参加しやすいレギュレーションにできるようGTAやSROにご指導頂きながら、協力を得ています。それに合わせてエントラントの負担もありますので、エントラントのみなさまともお話ししながら、もっとも適正な形で実現するというのをこれから詰めていきたい。カレンダーについては鈴鹿1000kmがシリーズから外れるわけですが、まずは我々はスーパーGTのシリーズをやめたいと思っているわけではありません。2018年のスーパーGTは是非、やらせて頂きたい。ただ、今はどの時期に開催されるのかまったく決まっていません」
「鈴鹿1000kmを10時間耐久レースにするという話はモビリティランド/鈴鹿サーキットのわがままですから、我々がスーパーGTの鈴鹿開催をこの時期にしてもらわないと困る、と主張するつもりは毛頭ありません。GTA、メーカ−、各サーキットの方とお話をさせて頂きながら、お客様のことを考えた日程でいつになるかというのはこれからの話になります。その2018年のスーパーGTのスケジュールがまとまってから、その中で鈴鹿10時間耐久レースのご相談をしていくということになるだろうと思います」
「そしてもうひとつ重要なのは、実際にお客様に来て頂かないと始まりませんので、鈴鹿10時間耐久レースの魅力をお客様にどう伝えていくのか。事前のプロモーションがすごく大事だと思っています。日本とヨーロッパとアジア、これだけ多くの国からGT3マシンが集まるのはこの鈴鹿10時間耐久レースだけですので、日本はもちろんですが、ヨーロッパやアジア圏、特にアジア圏からのお客様には鈴鹿、松阪、伊勢などの観光と合わせて自治体と協力してPRに力を入れたいと思っています」
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昨年6月に就任した山下社長は、モビリティランドの社長としては初めての生え抜きの社長となる。ここ1〜2年、鈴鹿サーキットは『SUZUKA Sound of ENGINE』、この『鈴鹿10時間耐久レース』、そして先日には『FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1チャンピオンシップ』のエキシビション開催の発表など、レースファンに向けたサーキット主体での新規イベントの開催が続いている。
近年の国内モータースポーツは自動車メーカーやプロモーター(主催者)が中心となってイベントが運営されており、現在ではスーパーGTがもっとも盛況を呈している。次の時代に向けたモビリティランド/鈴鹿サーキットの新しい試みは今後の国内モータースポーツにどのような変化をもたらすのか。その大きな試みの中心に、この『鈴鹿10時間耐久レース』がある。