D’station Racing 2018鈴鹿10時間 レースレポート
8月25日(土)は予選日だ。ただし国内の他のレースとは異なり、ノックアウト形式の予選のみが行われる一日。予選はノックアウト形式だが、今回は15分間ずつそれぞれ3人のドライバーがアタックし、合算したタイムでQ2進出車両を決定。Q2は20台のシュートアウトとなった。
まずは藤井がアタックに向かうが、やはりオーバーステアが厳しい。それでもまずは2分04秒492を記録し、18番手につける。藤井はすぐさまフィーリングを伝え、チームは続くミューラーのアタックへ向けて対策をうった。「良くなったね!」とミューラーは無線で感触を伝えると、2分04秒090を記録。11番手につけた。さらにミューラーも、今度はバンバーへ向けてアドバイス。これでさらに改良された7号車D’station Porscheは、2分03秒824までタイムを伸ばし12番手に。タイム合計12番手で、見事Q2進出を果たした。
規定により、Q2のアタッカーを務めるのはバンバー。抗議や計時再計算等もあり、当初予定から大幅に遅れたQ2シュートアウトだったが、バンバーは果敢にアタックを展開する。惜しくもフライングラップ時に、わずかに別の車両に引っかかってしまいロスをするが、2分02秒916までタイムを伸ばした。結果としては19番手と、少々不満の残るグリッドだが、「もしあとコンマ1秒速かったら9番手だ。レースに向けては悪くないと思う」とバンバーは僅差のなかでの順位よりも、ドライバー3人が力を合わせてのフィーリングの向上を喜んだ。
Race
8月26日、いよいよレースは決勝日を迎えた。10時間レースということもあり、午前10時からのスタートと朝も早いが、午前中から気温が上がっていき、タフなレースが予想された。
7号車D’station Porscheのスタートを担当したのはミューラー。今回はスタートも欧州式だが、ミューラーにとっては慣れたもの。序盤、#08ベントレーや#44メルセデス、さらに#00メルセデスや#66アウディ、#018 GT−Rといった日欧の強豪たちと競り合いながら序盤を戦う。
このレースでは、規定時間を越えて走り続けることはできないため、必然的に各車のピットインタイミングは似てくるが、ミューラーは29周を終えてピットイン。藤井に交代する。ミューラーからのインプレッションも良好だ。
46周目、#88ランボルギーニ、#17アウディらと競り合っていた藤井は、#88ランボルギーニを抜こうとヘアピンでアウトからオーバーテイクを決める。#88ランボルギーニがふたたびアウトから並んでこようという雰囲気を感じ取った藤井は、それほど厳しいブロックではないが、アウト側へラインを変えた。すると、#88ランボルギーニのフロントと藤井のリヤがヒットしてしまった。両車とも走行に支障はなかったが、この接触で藤井にはなんとドライブスルーペナルティが課されてしまった。
藤井には少々厳しめのペナルティだが、起きてしまったことは仕方がない。幸いD’station Porscheのフィーリングは良好で、追い上げも可能。藤井はピットに戻り、バンバーと交代した。
バンバーは順調に周回を重ねていたが、スタートから2時間42分、73周目に入っていたところで思わぬ光景がモニターに映る。ヘアピン立ち上がりで、7号車D’station Porscheが力なくコース上にスローダウンしている。D’station Racingの参戦から1年半、こんな光景は見たこともない。
チームはなんとか再始動しようとバンバーと交信したが、打つ手はなし。原因は、デグナーカーブで縁石をまたいだ際にオイルパンを打ってしまい、油圧低下からのエンジンストップというもの。不運なトラブルで、チームはまさかのストップに複雑な表情を浮かべた。
7号車D’station Porscheの挑戦は、まさかの結末で幕を閉じた。結果は残せなかったが、ふだん使わないタイヤ、アール・バンバーの起用、さらに他に4台が参加したポルシェ他チームとコミュニケーションをとりながらの戦い等、ふだんは体験できない経験を積むことができたのも事実。この経験を活かし、SUPER GTの残りシーズンでの好結果を狙っていく。