更新日: 2018.11.21 17:32
30号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート
だが、展開が落ち着いてくると、永井選手は前後との間隔をしっかり保つようになり、コンスタントに周回を重ねるようになっていく。5周目には先行する車両の脱落でひとつ、そして6周目と9周目には自力で1台ずつかわして順位を上げる。
しかしながら、そこから先は前が詰まるようになり、ペースを上げたくても上げらない状態がしばらく続いたことから、永井選手を予定より早めにピットに戻すよう作戦を変更。そして、17周目に織戸選手にスイッチする。だが、その際にひやりとする光景が……。
タイヤは無交換ではあったが、コースに戻ってからの織戸選手のペースも良く、また先ほどまで行く手を阻まれていた車両の前に出られたことから作戦は成功だと言えた。また、28周目にはオーバーテイクにも成功と、そこまでの流れはむしろいいぐらいだった。
だが、31周目に黒旗がD30のボードを添えられ、提示されてしまう。先のピットストップで、織戸選手へのサインミスが原因で、まだ給油中だったにも関わらず、クルマが動いたことに対するドライビングスルーペナルティの指示だった……。やむなく32周目にピットに戻ったものの、織戸選手は未だ戦闘モード。39周目には1台を抜いて、さらに前を行く車両を追いかけ続けたものの、あと一歩のところでチェッカーが。
結果としては21位だったものの、トップからは1周遅れに留めたことで、貴重なチームランキングポイント3点を獲得することにも成功した。もちろんランキング25位といっても納得のいくものではない。だが、今回はマシントラブルもなく速さを見せながら完走を果たせたことの意義は大きい。
マシンやエンジンのラストランを飾れなかったのは残念だが、チーム全体が納得のエンディングとなったことを最後にお伝えしたい。
永井宏明選手
「マシンバランスを決勝前に少しリアに振りすぎてアンダーステアが強くなってしまったが、ヨコハマタイヤのフィーリングも良くペースも保てた。だが、GT3勢のパワーには完敗で立ち上がりの加速、最高速で簡単に抜かれてしまう辛さがありました」
「このPRIUSとレースは最後になりましたが、たくさんの事を学ぶことができましたし、経験も積めました。来年からは、我々の意見がいっぱい詰まったまったく新しいマシンでの参戦となります。自分もオフシーズンでさらにドライビングを強化し、2019年開幕から全力で挑みますので、応援くださるみなさまと喜びをともにしたいと思います。今シーズン、ありがとうございました」
織戸学選手
「決勝前に、欲を出してセットを少し変更したのがアンダーステア傾向になってしまったが、こんなにチョットした変更にも確実にマシンは反応するようになりました。でもマシンバランスは良くてもコース上でGT3とバトルでは最高速不足から本当に抜けなくて辛かったです」
「どんどんPRIUSの事が分かり、やっとシンクロし始めたのですが、これがラストランとは残念でなりません。最後に、シーズン途中から、チームに迎え入れていただき、カローラ三重の皆さま、チーム関係者のみなさま、ヨコハマタイヤの皆さまに心から感謝しております」
「次の機会があれば、必ずもっと速くて乗りやすくて戦いに強いマシンを仕上げて、自分を必要と判断下さったみなさまに恩返しをしたいと思います」
金曽裕人監督
「クルマは本当に速くなりましたし、レース中のペースも悪くありませんでした。ただ、最高速ではまわりを囲んだFIA-GT3勢にかなり引けを取ってしまうので、スタートからしばらくしてGT3勢の数台に飲み込まれたのは仕方がない。織戸選手はタイヤ無交換で、しかもロングスティントでありながら、最後まで速いいペースで走ってくれたのはさすがです」
「それだけにペナルティが申し訳ない。あれはピット側のサインミス。織戸選手とのコミュニケーションが悪く、まだ給油中だったのに『出ていいよ』と判断される対応があったので、動いてしまったんです。そういうミスはあったんですが、流れが良くなっているのは事実です」
「トラブルもなくなりましたし。あと永井選手のレース精度も高くなってきました。来年は最初からしっかりと体制など、いろんなことをリセットして、新車に乞うご期待といったところです。今シーズン、不甲斐ない結果しか出せず申し訳ございませんでした。必ず、ご期待に応えられる成長過程のパッケージですので、多くの関係者の皆さま、応援くださるファンのみなさま、来年もお付き合いくださいませ。必ずを具現化しますので」