更新日: 2019.07.05 11:03
31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 2019スーパーGT第4戦タイ レースレポート
決勝レース(66 周) 6月30 日(日)15:00~
普段は土曜日の公式練習後に行われるサーキットサファリが、今回は20分間のウォームアップの前に行われ、日曜日は計40分間の走行が可能とされた。予選で試されたセットを公式練習の状態に戻すのは予めの予定だったこともあり、貴重な時間の追加ともなっていた。
まずサーキットサファリを走り始めたのは嵯峨選手。バスとともに走る時間を確認にあてて、バスが離れたタイミングからぐっとアクセルを踏み込むことに。まずは1分36秒004をマークする。ラストの1周のみ中山選手が走行し、10分後にスタートしたウォームアップをそのまま走ることに。予想どおりタイムは徐々に縮まっていき、1分35秒257にまで到達したところで、再び嵯峨選手がドライブ。2周のみの計測だったが、1分35秒160を記録して#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは15番手につけることとなった。
さて、気になるスタート直前の温度だが、気温は33度、路面温度は46度にまで上昇。雲の切れ間からは青空も見えるようになり、おあつらえ向きのコンディションとなってきた。
今回もスタート担当は中山選手。心配されたオープニングラップの混乱もなく、まずはポジションキープからのレース開始となる。しばらくのあいだはアクシデントに見舞われた車両が現れたときのみ順位を上げる格好となっていたが、それは、あらかじめタイヤ無交換策を予定したためだ。
中山選手はタイヤをしっかりマネージメントし、コンスタントに周回を重ね、それで20周目には1台をパス。その頃、すでに周回は3分の1を超えていただけに、早めにドライバー交代を行う車両も出てきたこと、そして25周目に中山選手はもう1台をかわしていたことで、12番手まで浮上した27周目に予定どおり嵯峨選手にバトンタッチ。タイヤはもちろん無交換。あとは、この後ピットに入る車両が、後ろに連なるのを待つだけとなっていた。
だが、大きな誤算が生じてしまう。GT500クラスにアクシデントが発生、1台がコース上でストップしてしまったため、セーフティカーが導入されたのだ。そのとき、#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、まだピットに入っていない暫定トップ車両の後ろにいたことで、実質ラップダウンとなってしまったのだ。これで勝負権は完全に失われた……。
どうあがいても埋められぬ差が築かれてしまった状況でも、諦めずに嵯峨選手は周回を重ねていき、また1周差のついた車両と同じようなポジションを走って、遜色のないタイムで走り続けられたことは、今後のレースに向けた大きな期待材料と言えるだろう。
1周遅れのポジション変動のない15番手でチェッカーの予定だったが、残り2周の、3コーナーで入賞争いのGT300車両にリアをヒットされスピンし、最終的に18位でレースを終えた。次回のレースは富士が舞台で、しかも500マイル(約800km)の長丁場。#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの大暴れに、大いに期待していただきたい。
嵯峨宏紀
「予選で下位に沈んでしまったので、少しでも上の方に行けるように頑張ったんですけど、セーフティカーのタイミングがあまりにも悪くって、まだピットの終わっていない暫定トップのクルマを捕まえてしまったことで、その時点で我々の順位は確定してしまいました。本当に運がなかったとしか言いようがないですね」
「でも、シーズンはまだ終わったわけではないので、諦めずにコツコツやっていきます。いずれにせよ、根本的に改善しなきゃいけないことがあり、後半戦には投入されると聞いてますのでそれまでは厳しいかな、と思っています」
中山友貴
「今回もスタートを担当させてもらったんですが、決勝で安定した速いクルマになるようにチームが考えてくれて、バランスとしては今週末でいちばんいい状態で走ることができました。何台かオーバーテイクできて、単独で前が空いている、クリーンエアの状況ではペースが安定している感触もあったので、そのまま予定どおりの周回をこなして、嵯峨選手にバトンを渡せました。その後、セーフティカーが入らなかったら、ポイントを獲って帰れるぐらい追い上げるスピードはあったと思うので、すごく悔しいです」
「ただ、シーズンを通して考えると、常に大きなトライをして、クルマのバランスは少しずつ良くなる方向に進んではいます。次のレースはまた長いレースになるので、やっぱり速いペースでレースを周回していかないと勝ち目はないので、そういうクルマになるように自分も貢献していけるよう、引き続き頑張りたいと思います」
金曽裕人監督
「予選で振ったセットは大失敗でした。ふたつある分岐点のなか、予選セットが失敗だったことで、元に戻す方向がパフォーマンスに繋がることが分かりました。選んだタイヤもハードでしたから無交換をおこなって、あのペースでずっと走れたのは大収穫です。クルマのセットの方向性としては完璧には程遠く、まだまだ詰めていかなければならない部分がたくさんあるのですが、ようやく光が見えてきました」
「シャシーは各所に課題が残されていますが、毎レース完璧なのがタイヤ。無交換で、このパフォーマンスが継続できるブリヂストンタイヤには、すごく助けられています。今回セーフティカーによる運の部分で入賞できなかったことは、非常に残念です。新規製作の新型車両となり、全てが初であり産みの苦しみばかりですが、一歩一歩前進しておりますので、後半戦にご期待ください」