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投稿日: 2020.09.16 21:39
更新日: 2020.09.16 21:40

HOPPY team TSUCHIYA 2020スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート


スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2020スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA

レース結果報告書
2020 SUPER GT Rd.4
ツインリンクもてぎ

■日時 2020年9月12〜13日
■車両名 HOPPY Porsche
■場所 ツインリンクもてぎ
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/佐藤公哉
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選2位/決勝8位

カレーのおいしい辛さを合わせよう

 ここだけの話、第4戦もてぎを前に、ボク、ホピ輔(本名 HOPPY Porsche)は秘密練習に行ってきました。「秘密」なので、その中身をここでお話しすることは土屋武士監督からも止められています。でも少しだけご説明すると、武士監督と木野竜之介エンジニアが鈴鹿でみつけた方向性をもっと探りたくなって、富士のスポーツ走行時間にテストしたんです。SUPERGTの規則だとポイントを獲っていないチームにはスポーツ走行が認められているから、これはズルではありません。

 社員ドライバーの松井孝允くんだけでなく、テストドライバーとして武士監督も参加。自分で気になっていたことを確認して、セットアップを進めていきました。エンジニア兼監督が自分で乗ってセットアップしてしまうのはズルのような気もしますけど、それを規制する規則はないのでいいのでしょう。

 この結果、第2戦富士のレースラップより1秒くらい速くなりました。それもタイヤは中古。けっこう自信が持てる結果です。コースレイアウトのなかにボクが苦手とする中高速コーナーがなくて、期待できるもてぎ戦を前にいい流れができました。あんまりしゃべると武士監督に怒られてしまうので、探った方向性を簡単に言うとダウンフォース重視の走らせ方。ボクはGT3だから、カナードとかつけたらダメだし、直接空力で触れるのはリヤウイングの角度ぐらい。でもやったのはウイング角度ではありません……怒られるのでこのへんにしておきましょう。

 武士テストドライバーはこんなことも言っていました。

「ドライビングやタイヤは変えられるけど、“ポルシェ”というクルマは変えられない。だからポルシェがどうやったら速く走るのか探りたかった。つくった人の思想を知らないとそこに到達できないし、それがスポーツ走行で確認することができた。どうしてもドライバーは全部を求めたくなるけど、どこを拾って、どこをガマンするのかボクは理解できたかな。でも、GT3って本来、プロとジェントルマンドライバーが組んでレースするためのもので、ドライバーに優しいクルマでなければいけないのに、GT3のなかでメーカーワークスの戦いがヒートアップしてしまい、えらいことになっているなとも感じた。これはジェントルマンが乗れる代物ではないよ。この先がちょっと心配」

……武士監督の話があらぬ方向に飛んでしまいました。ともあれ、ボクとHOPPYチームつちやはかなり自信満々で第4戦もてぎに臨みました。スポーツ走行でセットアップの流れとクルマの動きを身体と頭でも確認している孝允くん主導でこの週末を組み立てるのがチームの作戦です。これまでの3戦は、ポルシェに元々のドライビングが合っている佐藤公哉くんが主導で進めてきた流れを変えました。

 ウェット路面混じりとなった土曜日午前中の公式練習は4番手とまずまず。チームのリクエストに応えてヨコハマさんが間に合わせてつくってくれた新しいタイヤも期待どおり機能することが確認できました。セットアップを孝允くん主導で確認したのでQ1も孝允くんでいきます。アタックラップで前のクルマとの距離を充分に確保できていなくて、少しひっかかりひやっとする場面もありましたが、無事Aグループ4番手でQ1突破。

 Q2は公哉くんが担当します。小雨混じりで滑りやすいコンディションを味方につけて公哉くんは最後のラップで1分49秒448のタイムをマークして見事2番手、フロントロウのグリッドを確保しました。ボクの実力としては3列目くらいかなと武士監督は予想していたようで、うれしい誤算。ランキング上位がウェイトハンディを積んでいるとはいえ、これまで予選においてトップ10にも届かなかったチームにとっては、大きなチャンスです。

 ポールポジションの360号車は飛び抜けて速いので届かないにしても、何かあれば、ひょっとしたらひょっとする、一番高いところもそう大それた夢ではありません。今年の2月にドイツから飛行機で渡ってきて、苦節半年長かった……。ようやくボクにもスポットライトが当たるときがきたんだ。早くも感動してしまいました。

 でもね……。そういう欲が前に出ると落とし穴があるんです。一番冷静で理論でかためているはずの武士監督でも、そこにはまってしまいました。

 今回のレースでは、ポルシェのようなリヤが重いクルマに慣れている公哉くんではなく、スポーツ走行からセットアップの方向性を理解してきた孝允くん主導で土曜日を進めたのに、決勝はこのコンビになってからの流れに戻し、公哉くんをスタートドライバーにして、ウォームアップでのセットアップ確認も公哉くんに託すことになりました。作戦変更です。

 ウォームアップを乗った公哉くんは「もうちょっとグリップが欲しい」とリクエスト。リヤウイングを少し立てると、「リヤのグリップはこっちのほうがいい。フロントの入りも問題ない」と好感触。リヤの車高も上げてアンダー対策も微調整してグリッドにつきます。このセットアップにして初めて満タンにしたので、どのくらいのバランスでスタートするのがいいかは未知の部分。ボクは、リヤにエンジンがあるから、燃料タンクはボンネットのなかにあります。なので、ボクは燃料が少なくなってくるとアンダー傾向になることが多いです。

 それを考えると、公哉くんのリクエストはどうなんだろうとボクは少し思ったのですけど、ここまでのレースでほとんどリヤタイヤがグリップダウンしてオーバー傾向になっていたので、公哉くんにとっては今まで通りの感触でのコメントだったんじゃないかな。でも今回ヨコハマさんが持ち込んでくれた新しいタイヤと、テストで見つけてきた新しいセットアップにはどうなんだろう……ってボクは正直、ちょっと心配に思ってました。


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