GT500タイトル争いの行方。自力チャンピオン獲得の可能性を持っているマシンが6台もいる超激戦
今季のタイトル争いは、全戦ポイント獲得マシンが1台もなく、例年よりも低いポイントでの戦いとなっている。そのため、最終戦での自力チャンピオン可能マシンが6台という超激戦だ。
その舞台となる富士では、エンジン性能が重要なカギを握る。これまではマージンを確保してリスクマネジメントをして戦ってきたものを、最後の1戦で“使いきる”ことになる。温存ぶんが解放され、本当のエンジンパフォーマンスを発揮して前に行くのはどのメーカーなのか。
また、エンジン性能のなかで燃費は大事な要素のひとつだが、今回とあるメーカーのチームからこんなセリフが聞こえてきた。
「8号車が入ったのは23周目でしょ? あれは絶対無理。ウチのウインドウが開くのはその3周あとの26周目だもん」
つまりARTA NSX-GTと同じ周に入って満タンにしても、ゴール前にガス欠になってしまうということだ。好燃費のNSXは、それだけ戦略の幅が広くなる。先にNSXが入り、その数周後に他社のマシンが入ろうとした矢先にセーフティカーが導入されたら、それでレースは決まってしまう。
今回、仮にARTA NSX-GTと同時にKEIHIN NSX-GTもピットに入っていたら、シリーズの大方が決まってしまっていた可能性が高いことを考えると、無視しづらいポイントでもある。
ホンダはもともと「燃費には自信あり」と公言しており、使用回転域も他メーカーより低いと見られている。燃費を良くする方法としては、ホンダのように低回転側に振って燃料噴射回数を減らす方法があるが、あえて燃費ぶんを出力向上に振るという方向性もありだ。
果たしてライバルは、最終戦までの3週間でどう仕上げてくるのか。ここでもメーカーの開発の地力が問われることになる。
ちなみにゼロウエイトで戦った開幕戦は、GRスープラの上位5台独占だったが、じつはKEIHIN NSX-GTはそのあいだに唯一割って入り、4番手走行中にトラブルでストップしている。しかし、優勝したのはKeePer TOM’S GRスープラだ。
「富士ではこっちが有利なのは間違いない。でも気温が下がってくるとホンダのエンジン性能が上がってくる傾向があるので、少し怖いなとも思う」
そう語る平川。燃費に関しても「明らかに向こうのほうが良い」と語り、警戒しつつも「富士は得意」と言う。その言葉を、KEIHIN NSX-GTはじめ、チャンピオン候補のARTA NSX-GT、RAYBRIG NSX-GTはどう思うのだろうか。