更新日: 2021.10.24 21:15
LMcorsa 2021スーパーGT第6戦オートポリス 決勝レポート
S-GT2021 Rd6 AutoPolis Final
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
スタートからポジションをキープしたものの、2スティント目で想定外のグリップ低下に見舞われ、最終的には19位でフィニッシュしポイント獲得を逃す
■気象データ
気温:16度、路面温度:21度(スタート時)
昨年は開催サーキットを3箇所に限定したイレギュラーなシーズンとなったため、九州にSUPER GTのマシンがそろうのは2019年9月以来となった。AUTOBACS SUPER GT 2021 SERIES第6戦の舞台となったオートポリスは、10月23日(土)の予選日、24日(日)の決勝レース日ともに快晴となり、多くの観客が久しぶりのレースを楽しむこととなった。
2019年のオートポリス戦では終盤に驚異的な追い上げをみせてRC F GT3での初優勝を果たしたLMcorsa。験の良いサーキットと今季から使用するGR Supra GTとの相性も良さそうということで、チームの士気は高くオートポリス戦へ臨んだ。そして昨日の予選は89kgのサクセスウエイト(ウエイトハンデ)を搭載するものの予選Q1を3番手のタイムで突破し、決勝レースは表彰台も目指せる6番手からのスタートとなった。
24日の決勝レース日も風は肌寒いものの朝からサーキットには日差しが照りつけレース観戦日よりとなる。午前中にはピットビューイングや選手紹介が行われ、12時10分から決勝レース前の最終チェックとなるウォームアップ走行が始まる。SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのコクピットには吉本大樹選手が乗り込み5周を走行し、その後に河野駿佑選手が4周にわたってタイヤやマシンの状況を確認した。
決勝レースは予定どおりの13時30分にフォーメーションラップが始まる。スタートドライバーを務めた吉本選手はポジションをキープして1周目を終えると、その後はトップ3のラップタイムから遅れるが後続のマシンを引き離して6番手を走行。5番手のRC F GT3とはオープニングラップからほぼ同等のギャップで周回を続けるが、9周目にGT300のマシンがクラッシュしたことでFCY(フルコースイエロー)が指示される。44台のマシンがFCYの規定によって80km/hで走行したが、クラッシュ車両のパーツがコース上に散乱していたために、翌周にFCYからセーフティカー導入の提示に切り替わった。
15周目にレースはリスタートするが、19周目に再びGT300のマシンが接触したためセーフティカーランとなる。4周にわたってセーフティカーが先導し、23周目にレースは再開。このタイミングでドライバー交代を含めたピット作業を行うために複数台のマシンがピットレーンに入っていく。SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTはコース上に留まり周回を重ねた。上位のマシンがピットに入ったことで24周目には4番手に浮上し、27周目に吉本選手はピットレーンにマシンを進めた。ピットに戻ったSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは、吉本選手から河野選手にドライバーチェンジし4本のタイヤ交換と給油を行なった。
決勝レースは65周で争われるため残りは30周以上ある。チームは吉本選手が履いたタイヤとは異なるモデルに交換し、河野選手をコースに送り出した。15番手でレースに復帰するとすぐに1分48秒台のラップタイムで走行を続け、ライバル勢がピットに戻ったことで30周目には12番手、33周目には10番手まで順位を戻す。しかし、走行し始めて7周目あたりから徐々にラップタイムが落ち始め、10周を超えると想定以上の落ち幅となってしまう。
フィニッシュまで十分にタイヤのグリップは持つはずだったが、路面コンディションと合わなかったことが想像される。この予期せぬグリップ低下のため、チームは急遽40周目に河野選手をピットに呼び戻した。タイヤを交換して再びコースに復帰したが、この時点で23番手となりポイント圏内でのフィニッシュは絶望的となってしまう。
吉本選手がスタートで履いたモデルに戻した河野選手は、トップと遜色ないラップタイムで周回し48周目に1台、53周目にもう1台、55周目にも1台をパスして19番手に浮上する。しかし、ライバル勢よりもピット回数が多いため追い上げきれず、60周目に19位でチェッカーを受けた。
今シーズンは2戦目に優勝し、今回のオートポリス戦をポイントランキング5位で迎えた。そのためシリーズチャンピオンに向けて重要な一戦と捉え、少しでも多くのポイントを積み重ねることが使命だったが、予期せぬ事態で勝負権を失ってしまった。シーズンは残り2戦となったが、チーム一丸となり有終の美を飾れるように準備を進めていく。
■コメント
飯田章監督
「スタート以降はポジションを守って想定どおりの展開となりました。チームの持っているデータに基づいて戦略を立て2スティント目のタイヤも選択したのですが、コンディションと合わずに機能しませんでした。そのまま走り続けるとさらにタイムが落ちてしまうので、イレギュラーですが40周目にピットインしてタイヤを交換しました。この2回目のピットストップで勝負権を失いました。6番手スタートだったので確実にポイント圏内でレースをまとめたかったのですが残念です」
吉本大樹選手
「スタートを担当してトップ3からは離れましたが、序盤はポジションをキープできました。2回のセーフティカーランによってタイヤの摩耗もセーブでき27周目にピットに戻って河野選手にドライバー交代しました。いつものレースのように後半のスティントで追い上げてもらおうと思っていましたが、タイヤにグレーニングが発生したようで想定外のピットインが必要になりました。シリーズランキング争いで重要なレースと考えていただけにノーポイントは非常に辛い結果です。ただシーズンは2戦が残っているので、とにかく勝ちにいきたいです」
河野駿佑選手
「スタートのポジションとほぼ同じような位置で吉本選手からバトンを受けて走り出しました。ただタイヤが温まってもグリップする感覚が薄く5周ほど走ると急激にラップタイムが落ちました。周回ごとにタイムの落ち幅が大きくなったため40周目に急遽ピットインしてタイヤ交換したのです。その後はトップと同等のペースで周回できたので、非常に悔しい結果となりました。2スティント目に履いたタイヤはチームやメーカーと相談して選んだものだったので、早々にグリップレベルが低下することは想定できませんでした。ランキングは厳しくなりましたが、残り2戦ともトップ争いをしたいです」