更新日: 2024.09.19 17:19
T by Two CABANA Racing TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第3&4戦レースレポート
Rd.3 FUJI SPEEDWAY
Qualifying
2024.7.13 SAT
♯7/Rd3/6th/2’01.194 Rd4/11th/2’03.456
♯700/Rd3/19th/2’02.624 Rd4/7th/2’03.288
♯707/4th/2’06.489
●路面コンディション:ウエット
●気温:23度、路面温度:24度
クラブマン1戦、プロ2戦の変則的な富士大会の予選は
箕輪が4番手、堤が6番手と11番手、地頭所が19番手と7番手となる
参戦マシンが新型に変更され今年で3年目となり、各チームともデータが蓄積されてきたことで、『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup』は毎戦僅差のバトルが繰り広げられている。
第3戦の舞台となる富士スピードウェイでは、プロフェッショナルシリーズのみ『ダブルヘッダー(1大会2レース制)』での開催になるため、今回はチャンピオンシップを狙うためには重要な大会となる。一方のクラブマンシリーズは、通常の1大会1レースで開催される。
1大会2レース制で開催される場合、予選の自己ベストタイムで第3戦(レース1)のスタートグリッド、セカンドベストタイムで第4戦(レース2)のスタートグリッドが決まるため、全車2回のアタックが必要となる。また予選から2回の決勝レースを1セットのタイヤで走り切らないといけないため、タイヤマネジメントも勝敗をわけることになる。チームは7月11日(木)から走行を開始し、持ち込みセットアップやコース状況を確認した。
12日(金)は朝から雨が降り続き、時折激しく降るなど荒れた天候となった。この日はプロフェッショナルシリーズ・クラブマンシリーズともに、午前にスポーツ走行枠が1本、午後にタイム計測が行われる専有走行が1本設けられた。今大会はクラブマンシリーズのエントリー台数が多いため、専有走行や予選はA組とB組に分かれて走行。
13時55分からクラブマンシリーズB組の専有走行が始まると、箕輪選手はユーズドタイヤでコースインし2分20秒573を記録してこの組の9番手、総合では21番手となる。プロフェッショナルシリーズの専有走行は15時15分から予定されていたが、直前のスポーツ走行枠で赤旗があり、約10分遅れの15時25分から始まった。
堤選手は周りと少しタイミングをずらしてコースインし、2分08秒702でトップタイムを記録。地頭所選手は2分10秒688で16番手となり、難しいハーフウエットのコンディションならが堤選手は仕上がりの良さを見せた。
予選が行われた13日(土)は、曇り空ながら隙間から太陽が顔を出すときもあり、少し汗ばむ暑さとなった。クラブマンシリーズB組の予選は、5分遅れとなる11時55分からコースイン。予選開始とともにアタックを開始した箕輪選手は、計測1周目に2分06秒826をマーク、翌周もアタックを続けて2分06秒489とタイムアップを果たすが2番手タイムで、A組の結果と合わせて決勝レースは4番グリッドからのスタートとなった。
昼過ぎから厚い雲が空を覆い、今にも雨が降り出しそうななか、プロフェッショナルシリーズの予選が14時50分から15分間で争われた。堤選手は予選開始と同時にコースインするが、計測1周目のセクター3で雨が降り始める。自己ベストタイムはブリヂストン勢で2番手となる2分01秒194を記録するが、全体では6番手。2回目のアタック時にはさらに雨が強まり、セカンドベストタイムは2分03秒456で11番手から第4戦をスタートすることとなる。
少し間隔を空けてからコースインした地頭所選手は、1回目の計測ラップ時には雨が降りだしていたため、自己ベストタイムは2分02秒624で19番手。続けて2回目のアタックを行ない、セカンドベストタイムは2分03秒288を記録し、第4戦は7番グリッドからのスタートとなった。
Clubman Final
2024.7.14 SUN
♯707/3rd/21’15.725
●路面コンディション:ドライ
●気温:30度、路面温度:35度
4番手からスタートした箕輪は、冷静にレースを組み立て終盤に3番手のマシンを抜き、表彰台に登る
今回のクラブマンシリーズの決勝レースは1戦のみのため、プロフェッショナルシリーズの第3戦と第4戦決勝レースの間に実施された。プロフェッショナルシリーズの第3戦が終了してから、約2時間のインターバルをはさみ、12時35分からクラブマンシリーズのスタート進行が開始。プロフェッショナルシリーズの第3戦決勝レースで降っていた雨は止み、急激に気温が上昇していく。
箕輪選手は今年からCABANA Racingの母体となる東名グループに勤務しながら、社員ドライバーとしてクラブマンシリーズとスーパー耐久に参戦している。今回は、大勢の応援団が東名グループから駆け付け、決勝レース前のグリッドで箕輪選手に声援を送っていた。
予定通りの13時00分より、クラブマンシリーズの決勝レースがスタート。路面が濡れているピットレーン側の4 番グリッドからスタートした箕輪選手は、5番手スタートの#557大西選手に1コーナーで並ばれ、コカ・コーラコーナーまでサイド・バイ・サイドとなる。それでも、コーナー立ち上がりから100Rに掛けて抜き去るとポジションをキープ。この間にトップ3とのギャップがコンマ8秒まで開いてしまう。だが、2周目には全体で3番目となるラップタイムをマークし、徐々にトップ3との差を縮めていく。
5周目には3番手を走る#311塙選手とテール・トゥ・ノーズとなり、TGRコーナーやダンロップコーナーでチャンスを作るも、なかなかオーバーテイクにはいたらない。それでも、8周目の1コーナーで横に並びコカ・コーラコーナーで3番手に浮上。残り2周でさらにポジションアップを図ったが、ギャップを縮めることが精一杯で10周目に3位でチェッカーを受けた。この結果により12ポイントを加算し、シリーズランキングは4位タイのままだがトップとの差を縮めた。
Professional Final
2024.7.14 SUN
♯7/Rd3/5th/21’26.593 Rd4/10th/20’35.809
♯700/Rd3/17th/21’44.833 Rd4/7th/20’34.265
【第3戦】
●路面コンディション:ウエット
●気温:27度、路面温度:28度
【第4戦】
●路面コンディション:ドライ
●気温:28度、路面温度:32度
1日で2レースをこなすダブルヘッダーとなったプロクラスは堤が2戦ともに入賞し、第4戦では地頭所も7位に入り2台がポイント獲得
夜中に降った雨も明け方には上がったものの、厚い雲が空を覆うなか、9時05分からスタート進行が行なわれた。14日(日)は『FUJI 86/BRZ STYLE 2024』と同日開催となったため、GR86/BRZ Cupのスタート進行には多くの観客が訪れ、グリッドウォークが実施された。
9時40分に10周で争われる第3戦の決勝レースがスタート。6番手スタートの堤選手は、ドライ方向のセットアップでスタートしたため、スタート直後の濡れた路面状況ではペースが鈍り1周目に3つポジションを落としてしまう。しかし2周目に#160吉田選手と#70服部選手をオーバーテイク、4周目のコカ・コーラコーナーでも#906 近藤選手を抜き、スタート順位の6番手までポジションを戻す。
その後は単独走行が続くが、レース終盤に雨が降り始めると前とのギャップを少しずつ詰めていき、ファイナルラップのコカ・コーラコーナーで#60小河選手を攻略し5位でチェッカーを受けた。
19番グリッドからスタートした地頭所選手は、スタート後の加速が鈍り22位までポジションを落として1周目を終える。しかし2周目と3周目に1台ずつオーバーテイクし20位まで上がると、その後もレースペースが良かったため6周目に1つ、9周目にもひとつポジションを上げる。ファイナルラップの最終コーナーで上位争いをしていたマシンのスピンもあり、最終的には17位までポジションを上げてレースを終えた。
ダブルヘッダーとなったプロフェッショナルシリーズ第4戦は、15時25分にスタート進行が始まると、ふたたびサーキット上空に暗い雲が接近してきた。遅い時間のスタート進行だったものの、多くの関係者やゲスト、観客でグリッド上は賑わいをみせた。
35分間のスタート進行を経て、16時00分にプロフェッショナルシリーズ第4戦の決勝レースがスタート。11番グリッドスタートの堤選手は、中団グループの熾烈なポジション争いのなかで走行するが、ひとつ順位を上げて1周目のコントロールラインを通過する。その後も前方集団に追従するも、オーバーテイクを仕掛けられるほどのペース差はなく10位でレースを終えた。
7番手からスタートした地頭所選手は、4番手を先頭とした隊列のなかでポジションをキープ。後方からタイヤメーカーの異なるマシンに接近されるが、冷静なドライビングでポジションを死守し7位でチェッカーを受け、2024年シーズン初のポイントを獲得した。
次戦は8月に十勝スピードウェイで開催されるが、昨年は堤選手が優勝し、チームとしても良いイメージを持っている。また、次戦からブリヂストンタイヤはニューモデルを投入するため、2台揃って上位に入ることを期待したい。
Team Staff&Drivers Comment
安藤宏 チームオーナー
「今戦のプロクラスは、ダブルヘッダーで重要な大会でした。ウエットだった金曜日の走行は好調だったので、予選と決勝レースもそのままのコンディションを望みました。しかし、土日ともに判断の難しい状況で強さを出し切れませんでした。その中でも堤は第3戦で5位、地頭所は第4戦でチームに加入して最上位となる7位に入りました。ともに持っている力の片鱗は出せたと思いますが、チームとしてまとめ切れませんでした」
「クラブマンの箕輪は前戦では反省の多い内容でしたが、今回は多くの応援団の前で表彰台に登り、いくつかの課題はクリアしたと感じています。それでも上位の選手とは差があるので、シーズン後半にはその差を縮められるようになればと思います。次戦からプロクラスは新しいタイヤに変わり、堤と地頭所の両選手ともに気分を一新し、ランキング上位陣を追撃できるように準備していきます」
堤優威 #7 CABANA BS GR86
「ダブルヘッダーの重要な大会でしたが、梅雨らしい読めない天候に翻弄されました。練習走行と専有走行はウエットのコンディションで、トップタイムをマークできました。感触はよく、この状況なら上位で戦えると思っていましたが、予選と決勝レースはドライからダンプコンディションとなってしまいました」
「乾いた路面に対しては完全にセットアップが不足していて、ライバル勢を抜くことができませんでした。悔しい結果となりましたが、次戦からはブリヂストンタイヤがニューモデルとなるので、予選から結果を出して上位に入れるように努力していきます」
地頭所光 #700 DTS WRF/カバナ GR86
「レースウィークの練習走行ではドライコンディションでニュータイヤを入れたのですが、想定したタイムがマークできず不安要素がある状況でした。ウエットでもうまく走れている感覚がなく、予選に向けては修正が必要でした。2アタックとなった予選は、他のマシンとタイミングをずらしてコースインしましたが、良い面も悪い面もありました。それでも第4 戦は予選で7番手となり、久しぶりに上位のグリッドを得られました」
「第3戦の決勝レースは、途中で雨が降ったためマシンを壊さないことやタイヤを温存することを考え、第4戦の決勝レースに備えました。2回目の決勝レースは7番手からスタートしましたが、想像以上にペースがなく苦労しました。それでも、冷静に戦うことができ緊張感のある10周でした。上位陣と走ってみて改めて表彰台には遠いと感じ、悔しさはありますがマシン、ドライビングとも足りないところを補っていきたいです」
箕輪卓也 #707 ミノワファクトリー/カバナ GR86
「富士スピードウェイは昨年の最終戦にスポット参戦させてもらいましたが、悔しい結果だったので、雪辱を果たしたいと考えていました。ドライコンディションは、事前にテストさせてもらったお陰で、ほぼセットアップを変えずに走れました。ただ、今回はウエット、ドライと一日の中で状況が変わっていき、ドライビングを合わせ切れませんでした」
「そのため予選はミスがなかったのですが攻めきれずに4位で、決勝レースは1台を抜けましたが、3位になるのが精一杯でした。課題だった決勝レースでのペースや攻め方は、多少の改善ができましたが、それでも勝てないということは課題があると思っています。次戦は走行経験のない十勝スピードウェイですが、しっかりと準備をして戦います」
山崎登 チーフエンジニア
「堤選手はウエットコンディションとなった専有走行でトップタイムをマークし、2レースとも上位で戦えると思っていました。ただ、予選がドライとなり、セットアップを外してしまいました。やはり予選で前にいけないと、大量のポイントを獲ることは難しかったです」
「地頭所選手は、苦しいレースでしたがポイントを獲れたことで自信に繋がったはずです。もともとポテンシャルはありますが、状況に合わせ切れない戦いが続いていました。今回は、メカニックとの意見も合い、良い状況に向かっています」
「箕輪選手は、練習走行の好調さを予選で発揮できませんでした。経験を積めば改善するはずですが、状況に合わせたドライビングは必要です。決勝レースは課題の駆け引きや粘り強さも見せられたと感じています。プロクラスは上位とポイント差がつきましたが、諦めずに残りの大会で好成績を狙っていきます」