投稿日: 2020.12.10 13:48
更新日: 2020.12.10 13:49

ThreeBond Drago CORSE 2020スーパーフォーミュラ第5、6戦鈴鹿 レースレポート


スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2020スーパーフォーミュラ第5、6戦鈴鹿 レースレポート

ThreeBond Racing with DRAGO CORSE 
2020年度全日本スーパーフォーミュラ選手権レポート

第5戦:グランプリサーキット初陣!

 全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第5戦が12月5日(土)、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。タチアナ・カルデロン選手(以下、カルデロン選手)は、前回シリーズ第4戦をオートポリス・インターナショナルレーシングコースで終えた後、日本国内に滞在してシリーズ終盤戦に向け準備を整えてきた。

 鈴鹿サーキットは初めて走行することになるが、シミュレータでのトレーニングに加え、一般車両を使って実際のコースを周回してコース習熟を進め、レースウィークを迎えた。なお今回のレースは1大会2レース制で、土曜日に第5戦の公式予選と決勝レース、日曜日に第6戦の公式予選と決勝レースが開催された。

 鈴鹿サーキットはカルデロン選手にとってあこがれのグランプリサーキットである。12月4日(金)のフリープラクティスにおいて鈴鹿サーキットで初めてスーパーフォーミュラのマシンを走らせたカルデロン選手は、「ダウンフォースを使ってF1に近いラップタイムで走る、とても速くてチャレンジングなコースです」と感想を語った。

公式予選

12月5日(土)、午前9時30分からの公式予選Q1(Bグループ)に出走した。コースオープンと共にコースインしたカルデロン選手はニュータイヤのスクラブを行ったのち、一旦ピットインして早くもタイムアタック用のニュータイヤを装着、タイムアタックにかかった。

 今回は12月の低温を考慮してタイヤを事前に余熱するタイヤウォーマーの使用が許可されており、コースイン直後からタイヤがグリップを発揮することから、カルデロン選手はすぐにタイムアタックにかかり、1分37秒649を記録、セッション終了までにまだ時間があったことから引き続きタイムアタックを行ったが、タイムの更新はならなかった。順位は9番手に終わりQ2進出はならず、スターティンググリッドは18番手と決まった。

 伊与木仁エンジニアは「タチアナ選手にとっては初めての鈴鹿でしたが、あらかじめノーマルカーで5、6周の走行を行ってきたことにより、走り始めからそれなりに走行できていました。当初は今シーズン、鈴鹿が一番苦しむのではないかなと思っていました。予選は最下位ではありましたが、それほど大きなタイム差はつきませんでした。初めてのコースで、よくやったと思います」と評した。

決勝レース

 12月5日(土)、午後1時15分、気温16°C、路面温度19°Cと12月らしく冷え込む中、決勝レースのフォーメーションラップが始まった。すぐにコース上で1台の車両が停止したため、フォーメーションラップが2周追加され、レースの周回数が28周に減算されスタートが切られた。

 各車一斉にスタートした直後にアクシデントが直ぐさま発生、オープニングラップのうちにセーフティカーが導入された。カルデロン選手は脱落車両の分、繰り上がって17番手で再びレースを始めたが6周目に後方車両のオーバーテイクを許し、18番手へ後退した。

 その後、規則で定められたレース中のタイヤ交換義務を消化するため、チームは11周終了時点でカルデロン選手をピットインさせたが、タイヤ交換の際に右のリヤタイヤ交換が遅れ、クラッチミートのタイミングが狂ってエンジンがストールしてしまった。スターターを用いてエンジンを再スタートしレースに復帰したものの、コースに戻ったカルデロン選手の背後にはトップを走行中の車両が迫っていた。

「後方の車両が間隔を詰めてこないのでタチアナ選手はそのまま走りたかったようですが、青旗が提示されたので無線で『コースを譲れ!』と指示しました」と伊与木エンジニア。カルデロン選手はこの指示を聞いて先頭車両に進路を譲り、最後尾で周回を続けた。

 18周目、24周目にそれぞれコース上でアクシデントが発生、計3回のセーフティカーが導入される展開になった。カルデロン選手はコース上の混乱に巻き込まれることなく、その都度順位を繰り上げて走行を続け、13位で28周を走りきりレースを終えた。

2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)
2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)

タチアナ選手コメント

「金曜日のプラクティスで初めて鈴鹿を走ってから周回を重ねるたびに走りが進歩していきましたが、1レース終えて、まだまだ学ばなければいけないことがあるなと思いました。予選ではポールポジションが1分34秒5だったのに対し、わたしは2秒5も離されてしいました。難しかったのはS字コーナーで、とてもチャレンジングでした。また、わたしの経験してきたF2やF3では予選で繰り返しタイムアタックができましたが、スーパーフォーミュラでは2周しかできない点が異なり、そこも難しかったです」

「トラフィックに入るとダウンフォースが抜けてしまうのでさらに難しくなりました。更に、セーフティカーの後(リスタートの際)のタイヤの使い方も難しく感じました。スタートのときにはピットとのコミュニケーションがうまくいかず、エクストラフォーメーションラップがよく理解できず戸惑いました。でも、わたし自身あこがれの鈴鹿サーキットでのレースをとても楽しめました」

道上監督コメント

「今回鈴鹿を初めて走るというので事前に一般車両で走ってもらってコースレイアウトを研究したりしたのですが、やはりスーパーフォーミュラでここを走ろうと思うと、金曜日わずか2時間の練習だけで、いきなり予選を速く走るのは難しいです。しかも、この時期のコンディションだと、コースレコードが出るくらいタイヤのグリップも出ますし、スピードも速い中で走らないといけない」

「まず フィジカル的な面で心配していましたが、その点はまったく問題なさそうで安心しました。予選でのパフォーマンスを見ていると、まだチャレンジできていないところがあったりしました。例えばデグナー1個目に飛び込むときの車速が足りなかった。でも走れば走るほど速くなっているので、明日の第6戦に期待したいと思います」

伊与木エンジニアコメント

「レースが荒れましたからタチアナ選手の実力を全て出せたかというとそうではないと思う。うちがピット作業をミスしてしまいピットで遅れて、山本選手の前でコースに復帰したとき、無線で「譲れ」と言いましたが、彼女は「なんでだ!」と言い返してきました。確かにそんなに真後ろに来たわけではなかったので彼女にしてみれば「自分もレースをしているのだから、まだギャップがあるじゃないか!」ということだと思います」

「そういう意味では彼女には強い闘争心がありますよ。でも「青旗が出たのだから譲りなさい」と言って、ヘアピンの手前で譲らせました。全体を振り返ると、スタートから大きなクラッシュがあったりして荒れたので、自分のリズムをつかみきれなかった感じですね」

2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)
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2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)
2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)
2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)
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