Astemo Honda Dream SI Racing 2023鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート
表彰台を射程捕らえながらも悔しい結果に
#17
作本輝介/渡辺一馬/水野涼
予選︓4番手(best︓2分06秒730 ave︓2分06秒962)
TOP10トライアル︓6番手(2分06秒756)
決勝︓9位 ※公式結果より1台失格
Astemo Honda Dream SI Racingは2度目となる鈴鹿8耐を迎えた。 今シーズンはチーム体制を一新しての参戦となるが、出走ライダーは全日本を戦うレギュラーライダーである作本輝介、水野涼、渡辺一馬を起用しており、チームはまさに一枚岩で盤石な体制でレースに望む。6月、7月に実施された事前テストを順調にこなし、いよいよレース本番を迎えた。
レースウイークは水曜日のテスト走行から始まり、木曜日の公式車検をはさみ、金曜日は公式予選1回目が行われた。ライダーブルーの水野からタイムアタックに入り、2分07秒048で4番手につけると、ライダーイエローの渡辺も2分07秒193で4番手と続いた。この日の予選は転倒、赤旗中断が多く、思うようにタイムアタックできない状況であった。そのような中でも、全ライダーがタイムを出そうと次々にコースイン、嫌が上にもボルテージは上がっていく。
そうして迎えたライダーレッドの作本だったがアウトラップで転倒を喫してしまう。幸いケガはなかったが、タイム計測ができなかったため、土曜日の予選2回目では基準タイムをクリアすることが絶対条件となる。土曜日の予選2回目では水野がさらにタイムアップ。前日のタイムを0.3秒更新し、2分06秒730を記録。渡辺は1回目のタイムがベストタイムとなり2人の平均タイムでは全体の4番手となり、トップ10トライアル進出にコマを進める。
鈴鹿8耐久はル・マン式スタートのためグリッド位置はそれほど重要ではないと言われるものの、全ての観客が見守る中、1チームで2人のライダーがわずか1周のみのタイムアタックで競うトップ10トライアルは、ライダーにとってもまさに腕の見せどころとなる最終予選である。2018年以降、実に6年ぶりとなるこのトップ10に水野も初参戦、ミスない走りを見せ2分06秒756をマーク。6番手グリッドから決勝はスタートすることになった。
決勝日は気まぐれな動きをする台風6号の接近により雨予報が出ていたが、朝のウォームアップ走行終了後に僅かに雨が降ったものの、すぐに⻘空が広がり厳しい暑さの中でレースは始まる。スタートでは、いきなりアクシデントが起きてしまう。水野がマシンにかけよるがエンジンがうまくかからない。大きく出遅れてしまった水野はオープニングラップを24番手で終えると、すぐに猛追を開始。
1周ごとに順位を上げていき11周目には10番手に浮上すると、さらにセカンドグループに追いつき、その集団の前に出る。25周目には3番手に浮上し、表彰台圏内を走行していた。水野にかわってコースに出て行った渡辺も好ペースで走り4番手をキープしていた。そしてピットインのサインを確認した直後の1コーナーでガス欠症状が出てしまう。マシンをゆらして何とかエンジンは息を吹き返し、東コースのショートカットを使ってピットに戻るが、このロスにより順位を落としてしまう。
さらに3番手で出て行った作本がヘアピンで痛恨の転倒。マシンにダメージが少なかったため、そのまま再スタートして周回をこなすが、思うように順位は挽回できずにいた。その後、レース終了まで残り1時間15分というところで雨が降り始める。水野は危険と判断しピットイン。ウエットタイヤに交換し渡辺が出ていくが路面は思っていたよりも濡れていなかった。
それでも順位をキープしてチェッカーフラッグを受けるためにウエットタイヤのまま周回を重ねピットイン。最後はスリックタイヤに交換しガスチャージを行い渡辺が、そのままコースに戻り夕闇の中でチェッカーフラッグを受けた。
伊藤真⼀チーム監督
「本当に悔しいレースでした。今年から新体制となりましたが、チームは鈴鹿8耐のために数ヶ月前から大変な準備を遂行してくれました。また事前テストから結果もよく、チームはまさに一枚岩で盤石な体制が築けていました。そして決勝では表彰台も視野に入ってきたタイミングもありました。一方で、改めて鈴鹿8耐というレースの難しさを思い知らされました」
「Astemo竹内社⻑をはじめとするスポンサーの方々、そしてサーキットに応援に駆けつけてくださったファンの皆さまに、もっと素晴らしいレースをお見せすることができなかったのが残念です。来年の鈴鹿8耐へのシード権も獲得できましたので、今年の反省すべき点をしっかりと見直し、1年後のレースに向けてしっかり準備をしていこうと思っています。今年もAstemo Honda Dream SI Racingへの多くのご応援、誠にありがとうございました」
作本輝介
「昨年のリベンジを果たしたいと思っていましたが、空回りしてしまいチームに迷惑をかける結果になってしまいました。渡辺選手と水野選手はすばらしい走りをしてくれました、そしてチーム全員のためにも貢献する走りをしようと思っていましたが、期待してくださった皆さんに結果で応えることができず本当に心苦しい気持ちでいっぱいです。2週間後には全日本のシーズン後半戦が始まるので、気持ちを切り替えて皆さんの期待にそえれるように全力を尽くします」
水野涼
「今はシンプルに悔しい気持ちしかないです。鈴鹿8耐はその準備に非常に多くの時間をかけ、その集大成を見せる8時間のレースになります。一つのミスなら、ある程度挽回することもできますが、それが2つ、3つと重なると難しいものがあります。残念ながら、そのよくないことが決勝で起きてしまいました。一時は3番手を走った場面もあり、表彰台が届く位置にありました。僕たちはもっと上の結果を残したかった、そして積み上げてきたことが崩れてしまったことが本当に悲しいです。今は、簡単に気持ちを切り換えることはできませんが、次戦のもてぎ2&4レースで、この悔しさをぶつけられるようにしたいと思っています」
渡辺一馬
「去年の悔しさを晴らしたくて1年間準備をしてきたのですが、今年も思うような結果を残すことができず、ただただ悔しい思いで一杯です。結果に対してはいろいろな要素がありましたが、ライダーとして事前テストからもっとできたことがあったと思うと不甲斐ないです。目の前にいい結果が見えていましたし、チャンスは明らかにあったので、それをつかむことができず自分自身の力不足を感じました。鈴鹿8耐なので一人だけの力で戦うわけではないのですが、自分の力で勝ち取ることができなかったのは悔しいです」