更新日: 2017.11.07 11:57
今宮純によるF1ロシアGP採点:過小評価を覆したボッタスのハングリー精神
☆4 セバスチャン・ベッテル
向かい風を受けたフェラーリ、ボッタスのスリップストリーム効果がより高まったのは確かだ。
決して出遅れてはいなかったがスタートで攻略されると、執拗な追跡戦にスイッチオン。
独走は許さないぞ、そのベッテルの意気地がシーズンをおもしろく、緊迫感を見る者に与える。今年のベッテルはV4達成のころよりずっと逞しい。
☆5 バルテリ・ボッタス
明らかにニキ・ラウダ氏は彼を過小評価していた。オフのころは「(ニコ・)ロズベルグなみにはやれるだろうが……」とナンバー1.5的な見方をしていた(だから1年契約だったのかもしれない)。
しかし、レース後に「こういう初勝利レースはすばらしい」と絶賛、メルセデス全体がボッタスを見直した。ハミルトンは気づいたはずだ。いままでの相手、フェルナンド・アロンソやジェンソン・バトン、ロズベルグと違い黙々と迫りくる年下のフィンランド人はチーム内での駆け引きに興味はなく、首脳陣に取り入るわけでもない。
第4戦にして全セッションすべて負かされ、レースでも劣ったそのショックは小さくはない。見事な逆転勝利で、はしゃがない態度にも末恐ろしいと感じただろう。
この1年に自分の将来がかかっている彼はレース人生を賭けている。
長期契約の“スターさん”とは気構えが違う。それが金曜からの結果にはっきり出た。
ラウダ氏が言うとおり、106人目GP勝者フェルスタッペンもその前のリカルドもマルドナドも、こういう鉄壁な初勝利ではなかった。
まるで何勝もしてきたチャンピオンのような81戦目であった。