悔いなく戦いきったアロンソのレーシング魂【今宮純のF1アブダビGPドライバー採点】
☆☆☆☆ カルロス・サインツJr.(ルノー)
アブダビではこれまでいい結果がなく、6位入賞は自己ベスト。ウルトラソフトで37周も引っ張り、盤石なペースで“Bリーグ首位”と健闘。レース重視セットを考え、ハンドリングを夕闇の路面温度低下に合わせた“ヘッドワーク”。いい仕事を済ませ、来季アロンソの後を継ぐ。
☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
ひとことで言えばリラックス・モード。アメリカの俳優ウィル・スミスとじゃれあいながら、連勝で締めた最終戦。予選で見せたタイムアタックの巧さ、セクター1はじっくりと、セクター2はしっかりと、そしてセクター3は激しく……。最速セクタータイム無しでも83回目PP、1周のペース配分もさすがだった。五冠王に敵なし、表彰セレモニーもまるで独り舞台のように(?)。
☆☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
敗者の美学か意地なのか、54周目に最速ラップを叩き出し諦めずにプッシュ。初日からセクター3、とくに最後のコーナーふたつでアンダーステアが著しかった。それでもプッシュするベッテルとキミ・ライコネン、2018年シーズン後半のフェラーリを物語るシーンに思えた。予選はハミルトンに0.162秒及ばず、決勝も2.581秒届かず、ベッテルはすべての力をメルセデスにぶつけ敗れた。
☆☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)
なにより個人的に回想したことは、2001年オーストラリアGPでのミナルディPS01デビュー戦。3年落ちの“ヨーロピアンV10エンジンながら予選19位、決勝12位、ベネトン勢2台を抑えきった。そのときのアロンソは19歳217日、最年少完走記録だった。
それから17年が過ぎた314戦目(参戦数)は予選15位、決勝11位で完結……。レースにおいて大事なのは競うこと、悔いなく戦うこと――アブダビGPはアロンソを見るだけでも、価値があったのではないだろうか。