更新日: 2019.11.14 11:48
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第14回】改めて知る高地セットアップの難しさ。連戦を経てようやくマシン不調の原因が明らかに
さて上述の通り、アメリカGPで新しいパーツを投入しました。今年のクルマを早くするためというよりも、今までクルマのどの部分が悪さをしていたのかを見つけるためのテストですので、アメリカで投入した新しいパーツによってクルマが速くなったかというと残念ながらそのようなことはありません。
しかしアメリカGPを終えて、今までクルマのどこの部分がどうして性能を発揮できていなかったのかというのが正確にわかってきましたが、ウチのような小さいチームではその発見に時間がかかってしまいました。
大きいチームとは人数の差もありますが、データ処理の仕方やソフトウェア、センサーなどの道具も違うのでなかなか激しい競争のなかで迅速に対応することができていません。これは大きな課題で一朝一夕に完全に解決できることではありませんが、より効率的に速さを追及できるように、今は組織改革を進めているところです。
もうすでに風洞では2020年型のクルマをテストしていますし、そろそろクルマの初期仕様を決めなければいけません。シンガポールGPから始めた数々のテスト結果はどんどん来年のクルマに反映されているので、開発の方向としてはあっていると思っています。あとは本当に効率ですね。開発を急ピッチで進めながらも今年のバルセロナでのアップデートと同じ過ちを犯さないために、解析の精度やタイミングなど様々な面を改善していっています。
ハース4年目で今年は断トツに一番厳しいシーズンになりました。とても厳しいことはわかっていますが、あくまでも目標は選手権を7ポイント差で追っているアルファロメオを逆転することです。来年に向けてのテストをしながらも、残り2戦、最後まで決して諦めずポイント獲得を狙っていきます。