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投稿日: 2021.06.13 07:00
更新日: 2021.06.13 18:59

【F1第6戦無線レビュー(2)】「君たちの勝利だ」移籍後初優勝で歓喜に沸いたペレスとレッドブル。僚友への配慮も


F1 | 【F1第6戦無線レビュー(2)】「君たちの勝利だ」移籍後初優勝で歓喜に沸いたペレスとレッドブル。僚友への配慮も

 ほぼ2周後にようやくSCが導入されるが、ここでウイリアムズ陣営で混乱が起きる。ラティフィの担当エンジニア、ガエタン・ジェゴが、ピットに入らないよう指示したのだ。

ジェゴ:ステイアウト、ステイアウトだ。
ラティフィ:え? ステイアウトって、コース上にステイアウトという意味だよね?
ジェゴ:いや、ピットは通過するが、ピットには止まらない。あ〜申し訳ない!

 コース上の破片を避けるために、各マシンはSC先導で次々にピットに入って行ったが、ラティフィだけはそのままストレートを通過していった。ジェゴはすぐに過ちに気付いたが、ラティフィはピットエントリーを通過した後だった。ラティフィはレース後、30秒のタイム加算と3ポイントのペナルティポイントを科されてしまった。

ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)

 レースはそのまま赤旗中断となり、残り2周で決着をつけることになった。

ハミルトン:これはマラソンだ。スプリントレースじゃない。どれだけアグレッシブに行くか、十分考えようじゃないか
ボノ:了解
トト・ウォルフ:完全に同感だ

 ピットでリスタートを待っていた時のハミルトンは、無理して優勝を狙わなくても、2位で十分だという気持ちだったはず。ところが1コーナーのブレーキングで止まりきれず、最下位に転落してしまう。ブレーキバランスを極端にフロント寄りにする『マジックボタン』の誤作動だった。

ハミルトン:みんな、すまなかった
ボノ:いいんだ、ルイス
ハミルトン:僕はマジックボタンをオンにしたままだったのか? オフにしたはずだったのに……
ボノ:ああ、オフにしたと思う。でもアップシフトの時に、またオンにしたようだ

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ターン1で止まり切れなかったルイス・ハミルトン(メルセデス)

 対照的にレッドブル陣営は歓喜に湧いた。

クリスチャン・ホーナー:よくやった、セルジオ!
セルジオ・ペレス:君たちの勝利だ、素晴らしい仕事をしてくれた
ヒュー・バード:すぐにマシンを止めろ
ペレス:了解だ。マックスは残念だった

 油圧系のトラブルを抱え、リタイアも覚悟したというペレス。キャリア2勝目に喜びを爆発させながらも、フェルスタッペンへの配慮も忘れなかった。

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

 そして2位にはセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が入った。アストンマーティン移籍後、序盤4戦は1度も入賞できず。それがモナコで5位に入り、ここでは11番グリッドから2位表彰台を射止めた。まずは自身の復活を素直に喜んだベッテルは、続けてペレスの勝利を祝福した。それも彼の母国語のスペイン語で。実に心憎い気遣いだった。

ベッテル:チェコ、優勝おめでとう。きみの優勝が、本当に嬉しいよ

2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が2位を獲得
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が2位を獲得


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