更新日: 2023.06.27 08:15
【全ドライバー独自採点/F1第9戦】困難な週末に圧倒的な輝きを見せた4人。マシンの実力以上の結果を出したアルボン
■評価 6/10:ルクレールのQ2敗退は自分自身の責任
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選11番手/決勝4位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選8番手/決勝5位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選9番手/決勝11位
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決勝日だけを見れば、シャルル・ルクレール(フェラーリ)にはもっと良い点数をつけただろう。だが予選Q2敗退の責任は彼自身にあった。インターミディエイトでの2回目のアタックで、十分Q2に進めるはずで、3番手タイムを出せたかもしれなかったが、シケインでオーバーシュートしてしまい、ラップが台無しになったのだ。日曜日には、オープニングラップでアルボンをパスした後、DRSトレインに巻き込まれた。セーフティカー中にステイアウトすることを選択したことで、ミッドフィールドを大きく引き離し、最後のスティントではハードタイヤでアロンソとハミルトンに匹敵するタイムで走った。予選Q2のミスがなければ、好結果を出していただろう。
チームメイトのカルロス・サインツ(フェラーリ)も、予選での低迷の責任を負うべきだ。Q3で唯一のタイムアタックとなった周回を中止し、次のラップで良いタイムを出すことに賭けた。しかし赤旗が出たことで8番手に沈んだのだ。序盤のタイミングで2番手タイムを出すチャンスがあったにもかかわらず、それを逃したわけだ。予選で他のドライバーの妨害をしたとしてペナルティを受けたことは、公平な判断だったといえるだろう。サインツはフリープラクティスでも他車の妨害をしたことがある。レースでは、スタートでペレスに抜かれた後、ルクレールと同様の形でポジションを上げ、揃ってチームに貴重なポイントをもたらした。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、予選の非常にトリッキーなコンディションで、経験あるノリスに大きく離されることなくQ3に進出したことは、称賛に値する。しかしQ3でウォールにぶつかってしまったため、9番手という結果になった。決勝では、チームメイトを抜いた後、ハースの2台に勇敢に仕掛けたことが彼にとってのハイライトだった。しかしその後のリスタート後にノリスに抜かれ、ミッドフィールドから遅れてしまい、ポイント圏内には入れなかった。
■評価 5/10:マシンの競争力不足でトップ10に入れなかった角田
角田裕毅(アルファタウリ):予選16番手/決勝14位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選17番手/決勝12位
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選5番手/決勝リタイア
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選12番手/決勝6位
周冠宇(アルファロメオ):予選20番手/決勝16位
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アルファタウリはこの週末、明らかに競争力が低く、角田裕毅(アルファタウリ)は、強い印象を残すことができなかった。予選Q1ではトラフィックの影響を受け、0.016秒差で敗退。さらに他車妨害のペナルティで19番グリッドからのスタートになった。スタートでローガン・サージェントをパスした後、すぐさまピットストップを行う作戦で走り、最終的にハースの2台とチームメイトの前に出た。他のドライバーたちのミスやペース不足が角田にとって有利に働いたが、それでもトップと同一周回のグループの最後尾にとどまった。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は予選で妨害を受けたことでQ1で敗退する羽目になったと不満を訴えているが、もう少し早い段階で十分なタイムを出しておくべきだったとも言える。決勝では1周目にランス・ストロールをパスしたものの、その後は他のドライバーがトラブルに見舞われた際にポジションを上げるだけで、9位を争うDRSトレインのなかで走り、ポイント圏内に入る速さを示せずに終わった。
メルセデスがW14を改良するにつれて、ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ハミルトンについていくのに苦労しているように見える。予選で0.25秒以上の差をつけられるのは、若いラッセルにはショックな結果だっただろう。レースでは、ハミルトンとアロンソに追いつくためにプッシュした結果、12周目にウォールに接触。メカニックたちがマシンを修理してラッセルをコースに復帰させることができたが、オコンの背後で長時間にわたって走り続けた後、ブレーキの温度が上昇し、リタイアせざるを得なくなった。
セルジオ・ペレス(レッドブル)に関しては、何と言うべきか、言葉がない。3戦連続でQ3に進出できず、決勝ではフェラーリ2台についていくことすらできずに、単独走行の6位にとどまった。ダニエル・リカルドがサードドライバーとしてひかえているなかで、大きなスランプに陥ったペレスは非常に懸念すべき立場にある。彼はできるだけ早く立ち直らなければならない。
昨年好成績を挙げたサーキットで、周冠宇(アルファロメオ)は今年は期待外れの週末を送ることになった。Q1スタート時のトラブルが彼の自信に影響をおよぼし、うまく予選ラップをまとめあげることができず、ボッタスより1秒も遅いタイムに終わった。決勝は最後尾グリッドからスタート、入賞のチャンスはつかめなかった。
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■評価 4/10:状況を改善できずにいるデ・フリース
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選13番手/決勝9位
ニック・デ・フリース(アルファタウリ):予選18番手/決勝18位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選19番手/決勝リタイア
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ホームグランプリでランス・ストロール(アストンマーティン)は、忘れてしまいたい週末を過ごした。マシンに大きなアップグレードが施されたが、初日からストロールはアロンソにかなわなかった。FP3がウエットコンディションになったため、チームメイトのドライビングスタイルを真似するための時間も不足した。予選ではQ1をかろうじて通過して13番手で終え、オコンへの妨害で3グリッド降格。全チーム中2番目に速いマシンに乗りながら、レース中に大きくポジションを上げることもできず、ボッタスが残り数メートルでバッテリーパワーが切れたために前に出ることができ、ノリスのペナルティでひとつ繰り上がったことにより、9位入賞となった。
ニック・デ・フリース(アルファタウリ)の状況は、まるで良くなっていない。今回の厳しいコンディションもルーキーにとって助けにならず、予選は18番手にとどまった。レースでは、ケビン・マグヌッセンに対する強固なディフェンスの後、ターン3でブレーキングをミスし、マグヌッセンとともにコースオフするインシデントもあった。デ・フリースはレースを続けられたが、最下位完走にとどまった。
マシンのアップデートがアルボン車にだけ入れられたため、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)には今回大きなチャンスはなかった。さらにコンディションが彼の週末をより難しいものにした。予選最下位は避けられたものの、レースではPUの問題が原因でわずか6周でリタイアしなければならなかった。
■評価 3/10:チームメイトと比較して精彩を欠いたマグヌッセン
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選14番手/決勝17位
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今回の評価で最下位としたのは、ケビン・マグヌッセン(ハース)だ。彼にとって忘れてしまいたい週末だった。予選でチームメイトが2番手を獲得したのに対し、マグヌッセンは14番手。レースでは、いつもどおり激しいディフェンスに徹した後、デ・フリースにお返しされる形になった。このところ、ヒュルケンベルグに比べるとパフォーマンスが色あせつつあり、今回の17位という結果もそれを物語っている。