投稿日: 2021.10.20 20:52

ThreeBond Drago CORSE 2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ レースレポート


スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ レースレポート

2021 JAPANESE SUPER FORMULA CHAMPIONSHIP SERIES
ROUND.6 RACE REPORT
ツインリンクもてぎ

大荒れのMOTEGI

 2021全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第6戦が、10月16日(土)〜17日(日)にかけて栃木県のツインリンクもてぎで開催された。

 日本国内の新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が9月末に解除となり、海外の競技者にもビザが発行されるようになった。第3戦以降入国できないまま約半年の間、欠場を続けていたタチアナ・カルデロン選手は4レースぶりに来日しレースウィークに臨んだ。

 レースウィークに先立ち、カルデロン選手は改めてチームとミーティングを行い、レースに向けて意見を交換。最終的には彼女が欠場中代役を務めてきた塚越広大選手(以下、塚越選手)が試した新しいダンパーを装着。塚越選手が熟成した方向性に基づいて持ち込みセッティングを施すことが決まった。

2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)

公式予選

 前回第5戦は同じツインリンクもてぎで開催され猛暑に見舞われたが、今回は朝から曇天となり気温が低下して対照的なコンディションとなった。

ほぼ半年ぶりにスーパーフォーミュラ車両に乗ったカルデロン選手は慎重に走り始めたが、セッション開始から36分後の11周目、最終コーナーでコースオフし、フロントウイングを壊した状態でピットに帰還した。チームはフロントノーズごと交換し各部の点検後カルデロン選手をコースに復帰させたが、その後コースの一部で雨が降り始めてウエット宣言が出されるコンディションとなった。

 カルデロン選手はスリックタイヤのままコース復帰後6周を走行して90分間のフリー走行を終えた。コース習熟とマシン修復に時間を使ったため、新品のスリックタイヤを使った公式予選タイムアタックのシミュレーションをすることはできず、タイムは出走19台中18番手の1分32秒292に終わった。

 その後カルデロン選手は、午後1時50分から10分間、10台で争い上位7台がQ2へ進出するQ1B組に出走した。まずユーズドタイヤを装着してピットに戻り、改めて今回初めてのニュータイヤを装着してコースインしてウォームアップに入った。ところが前方で数台の車両が同様にウォームアップを行っており、カルデロン選手は本来のペースでウォームアップできないまま3周走って1回目のタイムアタックに入り、1分31秒780を記録した。予定ではさらにタイヤが暖まった状態で2回目のタイムアタックを行うことになっていたが、ウォームアップ時に前方を塞がれた状態で時間を使ってしまったため、1回目のタイムアタック終了数秒前のタイミングでセッション終了のチェッカーフラッグが振られてしまい、タイム更新が期待された2回目のタイムアタックを行うことができず、順位は10番手に終わりQ2セッション進出はならなかった。

2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)

決勝レース

 実は土曜日のフリー走行でコースオフした際、縁石で車両底部を打ったため、エンジンのオイルパン部分にクラックが入るというトラブルが発生していた。チームはエンジン交換をすると公式予選に間に合わないので公式予選はそのままマシンを走らせ、公式予選終了後に決勝レースに向けてエンジン交換を行った。

 その結果、競技規則により本来18番手だったカルデロン選手のスターティンググリッドは最後尾の19番手に降格となった。日曜日は朝から雨となり、午前10時50分からのフリー走行はヘビーウエットコンディションとなったが、午後2時からの決勝レースに向けて天候は回復し始めた。

 決勝レースではカルデロン選手を含む全車がレインタイヤを装着してスタートし、雨の中脱落する選手や早めのタイヤ交換を行う選手が出る中、カルデロン選手はレインタイヤで走行を続け9周目には14番手まで順位を上げた。
しかし雨は止んでコースコンディションは急激に回復しつつあり、レース後半へ向けてスリックタイヤへの交換のタイミングを計る状況となっていた。

 10周目、コースオフ車両を排除するためセーフティーカーがコースイン、多くの車両がスリックタイヤへ交換するためピットインを始めた。まだコースは完全には乾いていない状況ではあったがチームはタイヤ交換を決意、カルデロン選手をピットへ呼び戻すとスリックタイヤに交換してコースへ送り戻した。

 13周終了時点でレースは再開され、カルデロン選手は14番手でレースを始めた。まだ濡れている路面でスリックタイヤを装着して走り始めたカルデロン選手は当初車両のコントロールに戸惑ったものの、タイヤのウォームアップが進むに従ってラップタイムを上げていった。ところが17周目に入った2コーナーでバランスを崩すとそのままコースオフ、ガードレールに当たってマシンを損傷、走行不能となってレースを終えることとなった。

 次回シリーズ最終戦第7戦は、カルデロン選手が愛する鈴鹿サーキットで10月30日から31日に開催される。チームはマシンの修復を急いでいる。

2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)

■コメント
タチアナ・カルデロン

「6か月ぶりに日本へ帰ってきて、素晴らしいパフォーマンスを発揮するスーパーフォーミュラで再び走れることに感謝します。このマシンを操るため首をしっかりトレーニングするとともにシミュレーターでも練習を重ねてきました。でもカムバックは簡単ではありませんでした」

「フリー走行では10周しか走れずニュータイヤを試すことができないまま予選になりました。しかも予選ではタイミングが悪く1周しかタイムアタックができませんでした。決勝レースで起きたことには正直なところがっかりしています。確かに非常に難しいコンディションでした。チームには申し訳ない結果になってしまいましたが、この結果からできるだけ多くのことを学ぼうと思っています。次の鈴鹿ではリズムを取り戻して、もっと良い結果を出せるよう頑張ります」

2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)

道上龍監督

「フリー走行で飛び出してしまったために予選シミュレーションができず、予選でいきなりスリックタイヤを使ってアタックしなければなりませんでした。フリー走行でもっとスリックタイヤを練習できていれば、もっと感覚も戻っていただろうしタイムを上げられていただろうなとは思います」

「決勝ではレインタイヤでラップタイムが1分40秒くらいに上がってきたらそこでスリックタイヤかなと思っていたのですが、なぜか上位を走っている選手たちのタイムがみんな1分44秒くらいで停滞していて、いつ交換すべきかと迷っていたらセーフティーカーが入ることになったので、少し早いかなと思いながらもピットに入れましたこの判断はうまくいったと思います」

「でもその後しばらくしてコースオフしてしまいました。2回連続で、もてぎではついていないことになってしまいました。でも日本だとこういうコンディションでレースをやることは多いので、タチアナも勉強してくれたかなと思います。最終戦まで2週間しかないのでクルマを早く直そうと思っています」

伊与木仁エンジニア

「レースウィークに向けてミーティングしたときには、以前自分が乗っていたセッティングで走り始めた方が良くないかと言っていましたが、最終的にはデータを検討して塚越選手のセッティングの延長で持ち込みました。走り出したら『意外と自分にフィットする』と言っていました」

「決勝では、ただでさえ半年ぶりに乗ってすぐ上位に行けるほど甘いレースではありませんし、彼女には厳しい状況でした。スリックタイヤに交換するタイミングについては無線でやりとりしながら考えていましたが、少し難しいコンディションだったものの戦略的には絶好のタイミングだったと思います。タチアナも当初は少し戸惑っていましたが、タイヤが暖まってからはタイムも上がってきていましたから、スピンアウトしてしまったのは残念です」


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