更新日: 2024.06.07 15:39
セットアップとアプローチを変えた37号車Deloitte初優勝。笹原&アレジの苦労とトムスチームとしての伏線
そしてスーパーGT第3戦では、予選と決勝ともに力強い走りをみせたアレジも、この快進撃を披露する伏線となるものがあった。
アレジは、今季からスーパー耐久シリーズにFIA-GT3車両で争われるST-XクラスにROOKIE Racingから参戦。開幕戦のSUGO4時間と第2戦の富士24時間で連勝している。
「ジュリアーノはスーパー耐久ではROOKIE Racingさんで乗らせてもらっていて、SUGO、富士と2連勝していることで勝ち癖みたいなものがあったりしたのかなと思います。今回はジュリアーノにロングランをやらせても問題なかったですし、ショートランでもしっかり上がってきてくれました」と大立エンジニア。
特に富士24時間では夜間に小雨が降ってウエット路面になったところを、スリックタイヤで次のピットストップまで凌ぎ切らないといけないシチュエーションをアレジが担当することとなった。「難しい場面だったうえに、トラフィックも処理しないといけません。そんな局面を乗り切ったことは、ドライバーとしての自信がついたと思います」とクルム監督は分析する。
TOM’Sの山田淳総監督も、アレジのスーパー耐久での経験がプラスになっていると見ている。
「スーパー耐久の道を切り開いてくれたのは片岡(龍也)なんですけど、彼にはすごく感謝しています。スーパー耐久はスーパーGTやスーパーフォーミュラよりも一般の市販車に近い動きをするクルマで戦います。そこでしっかりとクルマの動きを再確認するチャンスを作ってくれました。それに対してジュリアーノも結果を残せたことで、自信がついた部分があると思います」
「先日の富士24時間でも、路面温度が目まぐるしく変わるコンディションでも上手に乗りこなしていて、最終的に優勝できたというのが自信につながっていると思います。そういった部分は昨年までなかったわけで、今年はそれを経験しながらスーパーGTにも参戦しています。その部分が大きな変化だと思います」と分析した。
笹原とアレジのコンビでようやく1勝を飾ることができたという感じではあるものの、平川亮/ニック・キャシディの頃のような“強い37号車”を知っている山田総監督にとっては「ようやく勝てたというよりも、どちらかと言うと強かったときの37号車に戻りかけているという感じです。ドライバーふたりにとってもここからがスタートです。この優勝を経て、どう変わっていくかが楽しみです」と、早くも次のステップを見据えている様子だった。