Arnage Racing スーパーGT第4戦SUGO レースレポート
苦しむ凜太郎選手を一刻も早く交替させたいチームは、ドライバーチェンジの用意をして、凜太郎選手が予定周回数の23Lapをクリアするのを今か今かと待っていた。ところが、昨年の菅生の悪夢の始まりを思い起こさせる展開が待っていた。チームがピットインのサインを出した、まさにその23Lap目、最終コーナーでクラッシュが発生してセーフティーカーが導入されたのである。今シーズンからセーフティーカーが入ったタイミングでのピットインは禁止されており、Arnage Racingは安岡選手に怒涛の追い上げを託す好機を逸してしまった。30Lap目、ようやくレースが再開。前方のマシンのアクシデントなどで、凜太郎選手は最後尾の27位から4つほどポジションアップして23位まで浮上してきていた。待ちかねたチームはようやく凜太郎選手を呼び戻す。
Arnage Racingの十八番であるタイヤ無交換作戦で、給油とドライバーチェンジのみのピット作業を終え、早々に安岡選手をコースに戻すシナリオが準備されていた。ところが、ここで、レースの歯車を狂わせるアクシデントが、更に起きてしまう。予定よりも素早くドライバーチェンジを終わらせた安岡選手がエンジンオンのタイミングを間違えてしまい、給油が終わらないうちにエンジンをかけてしまったのである。このため、チームはピット作業に手間取り、タイヤ無交換作戦で稼ぐはずのマージンを却って失ってしまうことになった。
ようやく安岡選手がコースに車両を戻したときには、ODYSSEY SLSは見かけ上の順位が22位となっていた。それでも、74周のレースはまだ中盤、40周近く残されている。しかもその時点でピットインを済ませていないチームがまだまだ多く、安岡選手がこのままペースをキープすればさらなるポジションアップを望み得た。安岡選手は追い上げを開始した。マシンは前半とは別物のように好調な走りを見せ、コースに復帰後安岡選手はすぐに、ベストラップとなる01’22.431をレコード、41Lap目に20位まで順位を上げた。
しかし、狂った歯車を修復する間もなく、Arnage Racingのレースは突然終わりを迎えた。安岡選手に交替してわずか15周目の47Lap目、「駆動がなくなりました」と安岡選手の落ち着いた声が無線から流れて、ODYSSEY SLSは、静かにコースサイドにマシンを止めた。安岡選手がマシンから降り、Arnage Racingの菅生ラウンドはあっけなく終了した。
その後も、レースは荒れた展開が収まらなかった。残り6Lapというタイミングに最終コーナーで起こったクラッシュのために赤旗中断となり、結局そのまま74周を待たずにレースは終了。終わってみれば両クラス併せて6台のマシンがリタイヤ、「魔物がいる」と言われる菅生らしい幕引きとなった。
レース終了後、ピットに回収されたODYSSEY SLSはメカニックの手でチェックされ、駆動を失った原因が、左側のドライブシャフト折損だと判明した。また、Arnage Racingは「給油中のエンジン始動」のペナルティを受け、決勝結果に37秒が加算されることになった。
P1#31 TOYOTA PRIUS apr GT 嵯峨宏紀 / 中山雄一
P2#25 VivaC 86 MC 土屋武士 / 松井孝允
P3 #61 SUBARU BRZ R&D 井口卓人 / 山内英輝
リタイヤ #50 ODYSSEY SLS 安岡秀徒 / 久保凜太郎