更新日: 2024.10.24 05:11
ブリヂストン TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第6戦レースレポート
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第6戦 プロフェッショナルシリーズ
猛暑の岡山で吉田広樹が8番グリッドから驚異の追い上げ 今季自身初の表彰台で2位獲得!
現行のトヨタGR86とスバルBRZによって競われる、GR86/BRZ Cupも3シーズン目を迎えた。指定もしくは認定されたパーツであれば自由な交換が許されるため、セッティングの幅が広がり、それに合わせたドライビングを要することでバトルがさらに激化した感が強い。
ブリヂストンは、前回の十勝スピードウェイでの第5戦からPOTENZA RE-10Dを導入した。従来のRE-09Dの持ち味だったロングライフに加え、ウォームアップ性を向上させて、今まで以上に予選の一発も狙えるようになった。
一方で、十勝の路面は特殊でμが低く、合わせ込みが難しいのでは……という懸念のなか、それでも#18中山雄一(ブリヂストン)が予選3番手、決勝で2位表彰台という好結果を残した。第6戦の舞台、岡山国際サーキットはタイヤ開発を進めてきたサーキットのひとつということもあり、いよいよ本領発揮の期待が込められた。
岡山国際のレコードタイムは、2年前に#160吉田広樹(ブリヂストン)が記録した1分45秒302ながら、この年は11月の開催。今回は残暑が厳しく、更新は不可能だと思われていた。
実際、金曜日に行われた専有走行ではトップの#10菅波冬悟(DL)ですら1分46秒317を出すに留まるも、昨年の同時期に行われた際に、菅波自身が予選で記録した1分46秒373はすでに超えており、また3番手につけた#18中山雄一(ブリヂストン)も1分46秒435と、僅差で続いていた。
なお、5番手は#121蒲生尚弥(ブリヂストン)で1分46秒700を、6番手は吉田で1分46秒742を、そして7番手は#7堤優威(ブリヂストン)で1分46秒761を、それぞれ記していた。
今回のエントリーは33台で、そのうち19台がブリヂストンのPOTENZA RE-10Dを装着する。
●予選
土曜日も厳しい暑さが続いた岡山国際サーキット。予選は金曜日の専有走行とほとんど変わらぬコンディションの下で行われた。
唯一、条件が異なっていたことといえば、専有走行は併催のスーパーフォーミュラ・ライツの走行後だったのに対して、予選はクラブマンシリーズの予選2セッション後に行われ、異なるタイヤメーカーのラバーが路面に乗っていたことだ。
しかし、この違いが予想以上に影響したようだ。
ブリヂストンのタイヤにはマッチせず1分45秒919をマークして2年連続でポールポジションを獲得した菅波を筆頭に、トップ5がライバルメーカーのユーザーで占められた。
ブリヂストン最上位となったのは6番手の1分46秒150を記していた#31青木孝行(ブリヂストン)。
8番手に1分46秒197の吉田、9番手に1分46秒297の#18中山雄一(ブリヂストン)、そして10番手に1分46秒331の#121蒲生尚弥(ブリヂストン)と続く。
また、ランキング2位につける#1井口卓人(ブリヂストン)が、エンジントラブルでアタックできず決勝の出走も見合わせることになった。
第6戦で予選6番手を獲得した#31青木孝行のコメント
「個人的に今シーズンは苦労した時間が長かったので、ひとつ抜け出せるきっかけができて良かったです。昨日の専有走行とコンディションに微妙な差があって、予選のコンディションはブリヂストンには合わなかったと思います」
「実際に走ったフィーリングとしても、見た目の路面コンディションの良さが合わなくて。グリップしそうな路面に見えたのですが、いってみると意外とグリップがなかった。明日は雨らしいのですが、新しいタイヤで雨は走っていないので、決め打ちでいくしかないと思っています」
予選7番手を獲得した#160吉田広樹のコメント
「昨日の専有走行はSFライツ直後で、もしかしたら、その影響があったのかもしれませんが、今日はクラブマンの予選が2グループあるので、始まってすぐ出ようと思っていました。コンディション的には、正直いろいろな要素がありすぎて、何が良くて、何が悪かったのかは判断できないですね」
「ただ、思っていたフィーリング以上に良いタイムが出ました。自分が感じているフィーリングでは、もっと遅いと思っていたのですが。一発のピークのグリップを少し薄く感じていて、表面のグリップ感とタイヤの剛性が、少し自分のイメージとは合っていませんでした」
●決勝
日曜日の岡山国際サーキットは、コンディションが一変した。未明からの雨によって路面が濡れていたのだ。ただ、雨自体は早朝にはやんでおり、路面は回復方向。最初に行われたSFライツの決勝ですらセミウェットコンディションだったにもかかわらず、全車スリックタイヤで走行できたほど。
午後からのプロフェッショナルシリーズ決勝は、空は灰色の雲に覆われたままではあったが、完全なドライコンディションで競われた。
若干ではあるが気温が下がったこと、そして路面が洗われたことで、コンディションにも変化があったようだ。まずはオープニングラップで、青木がひとつ順位を上げて5番手に、吉田がふたつ順位を上げて6番手、中山がひとつ順位を上げて8番手に上がった。
なかでも勢いに満ちていたのが吉田で、2周目にファステストラップとなる1分47秒371を記録した後、4周目には5番手に、そして5周目には4番手に上がり、さらにトップグループに近づいていく。
レースが折り返しを迎えてもなおペースの落ちない吉田は、9周目には3番手に、そして11周目には2番手に躍り出る。トップには追いつかなかったとはいえ、4番手に上がった時点で4秒半あった差を1秒強にまで詰めて、大いに意地を、そしてブリヂストンのロングライフをアピールした。
そして中山も、中盤に繰り広げていたオーバーテイクショーにより、5位でフィニッシュ。これに蒲生が続いて6位を獲得していた。また予選12番手から、#17谷口信輝(ブリヂストン)が10位にまで順位を上げて、貴重な1ポイントを獲得した。
●第6戦プロフェッショナルシリーズ決勝レースで、2位となった#160吉田広樹のコメント
「予選をまとめきれていなかった部分があったので、もう少しでもまとめ切っていれば、また違った決勝結果になったと思います。それでも、レースだけで考えるとベストを尽くせたと思います。ファステストも獲れて嬉しいですね」
「今までは予選が悪いせいで、ロングの良さを活かせないまま、途中で引っかかってしまうというレースだったのですが、今日は抜いていくペースがありました」
「タイヤのパフォーマンスは良かったですし、チームも毎回こういう時のために、一発よりもレースで強いところを見せたいと、ずっとそこに重きを置いてやってきました。ここ岡山やもてぎのような、ブレーキに厳しいところでは、タイヤとブレーキパッドの強さが、このような結果につながると思います」