更新日: 2024.11.11 13:30
ホンダ/HRC 2024スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 レースレポート
SUPER FORMULA 2024
Round 8
2024年11月09日
太田がポール・トゥ・ウイン。牧野は3位でタイトルへ望みをつなぐ
11月9日(土)、鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第8戦が開催されました。
ホンダ/M-TECエンジンユーザーとしては、#5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、 #6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#12 三宅淳詞(ThreeBond Racing)、#15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、#50 木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)、#53 Juju(TGM Grand Prix)、#55 大津弘樹(TGM Grand Prix)、#64 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)、#65 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)の6チーム計10名が参戦。
前回の富士大会同様に2レース制のフォーマットが採用され、土曜日に第8戦の公式予選および決勝、日曜日に第9戦の公式予選および決勝が開催されました。また、シリーズ最終戦となる第9戦には、第23回JAF鈴鹿グランプリのタイトルがかかります。
2レース制大会にともなって8日(金)にフリー走行が設けられ、この週末にSFからの引退を表明したばかりの#64 山本が、出走した21台中のベストタイムを記録し好調さをアピールしました。
翌9日(土)、鈴鹿サーキットは朝から晴れわたり、9時5分から公式予選Q1Aグループの計測セッションが10分間で行われました。ここでは#5 牧野がベストタイムを記録、#64 山本、#15 岩佐が続いて、ホンダ/M-TECユーザーが上位を占めてQ2へ進出しました。
9時20分から行われたQ1B組では、#16 野尻が快調にセクターベストタイムを連発してタイムアタックに臨んでいたところ、#50 木村がコースオフしてセッションが中断。冷えたニュータイヤでの再アタックを強いられた野尻は、ウォームアップが十分にできなかったためにタイムが伸びず、7番手に終わりQ2進出は果たせませんでした。Q2にはホンダ/M-TECユーザーとして#6 太田、#65 佐藤が進出しました。
Q1A組上位6名、Q1B組上位6名が出走するQ2セッションは9時50分にスタート。ここで#6 太田がトップタイムを叩き出し、自身初のポールポジションを獲得しました。2番手に#15 岩佐、3番手に#65 佐藤、4番手に#5 牧野が続き、ホンダ/M-TECユーザーがトップ4グリッドを独占。#64 山本は6番手、逆転王座を目指す#16 野尻は14番手という厳しい結果となりました。
気温24℃、路面温度は31℃と暖かさが増すなか、予定より10分遅れの14時40分にフォーメーションラップが始まり、ドライコンディションの下で31周のレースがスタートしました。
ポールポジションの#6 太田は好スタートをみせ、誰にも脅かされることなく第1コーナーへ飛び込みます。一方、2番グリッドの#15 岩佐はギアが入らず、スタート加速ができないままグリッドに取り残されるかたちになってしまいました。
オープニングラップは#6 太田の背後に#65 佐藤、#5 牧野、#36 坪井翔(トヨタ)、#64 山本が続きました。#16 野尻は11番手に順位を上げてオープニングラップを完了。#5 牧野は序盤のうちに#65 佐藤の前に出ようとオーバーテイクシステム(OTS)を使って詰め寄りますが、順位を入れ替えることはできません。
10周を完了してピット作業が可能になると、#5 牧野と#16 野尻が早速ピットイン。その次周に#65 佐藤、#36 坪井がピットインしました。しかし佐藤はピットアウトしようとした際にリヤタイヤが脱落し、ピットロード上でレースを終えてしまいました。
これにより#5 牧野はポジションを上げたかに見えましたが、ピット作業をすばやく終えた#36 坪井にオーバーカットされてしまいます。牧野はアウトラップの坪井を追い詰めますが、坪井のタイヤが温まると牧野との間隔は開いていき、2台の順位は変わりませんでした。
一方、充分なギャップをかせぎ出していた#6 太田は#64 山本とともに12周を終了したタイミングでピットイン。タイヤを交換して#36 坪井の前でコースに戻り、トップのポジションを守ったままレース後半に突入しました。
#6 太田が20周目に差しかかるタイミングで、後続車両のリヤタイヤが脱落するアクシデントが発生し、セーフティカー(SC)が介入しました。この時点の順位は#6 太田、#36 坪井、#5 牧野、#38 阪口晴南(トヨタ)、#8 福住仁嶺(トヨタ)、#16 野尻となっていました。
回収作業が終わり、23周目に入るところでリスタートが切られましたが、その直後に再び後方集団の中でアクシデントが発生し、2度目のSCが入ります。
このSC先導走行は28周目で終わり、レースは残り3周でリスタート。タイトル争いをする#5 牧野と#36 坪井はOTSを使いながら激しくポジションを争いましたが、オーバーテイクには至らず。その後方では#16 野尻が5番手まで順位を上げました。
トップを走る#6 太田は30周目と、最終ラップとなる31周目に相次いでファステストラップを更新して後続を突き放し、見事にポール・トゥ・ウイン。#6 太田にとっては昨年の最終戦鈴鹿以来の2勝目となりました。
#5 牧野は#36 坪井に抑え込まれたまま3位でフィニッシュ。5位には14番手から追い上げた#16 野尻が入賞し、7位に#64 山本、9位に#15 岩佐が続いて選手権ポイントを獲得しました。
その結果、#36 坪井とのポイント差を18.5点とした#5 牧野が総合ランキング2番手を守り、シリーズチャンピオンの可能性を残して最終戦を迎えることになりました。一方、#16野尻は#36坪井とのポイント差が25.5点に開き、逆転タイトルの可能性を失いました。
●太田格之進 Kakunoshin Ohta
#6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING
「クルマの調子が完璧でした。私としては(2位に)どれだけ差をつけられるかに挑戦したかったのですが、SCが2回も入って最初に築いた差がなくなってしまったことが少し残念でした。でも気持ちを切り替えて、最後にファステストラップを狙ってやろうとプッシュしました。全く不安を感じないレースでした」
SUPER FORMULA 2024
Round 9
2024年11月11日
太田2連勝でチームタイトル獲得。引退の山本は連続入賞を飾る
11月10日(日)、鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第9戦が開催されました。
日曜日は天候悪化が予想されていましたが朝から曇り空となり、9時15分からドライコンディションで公式予選が始まりました。Q1Aセッションでは#64 山本がベストタイムを記録、以下#5 牧野、#15 岩佐が続いてQ2へ進出。Q1Bセッションでは#6 太田、#16 野尻、#65 佐藤がQ2へ進出しました。
Q2セッションでは、#36 坪井翔(トヨタ)が#5 牧野より2点多く獲得すれば、その時点でシリーズチャンピオンが決定する状況でした。しかし、#16 野尻がポールポジションを獲得し、2番手に前日の勝者である#6 太田が食い込んで、ホンダ/M-TECユーザーがフロントローを独占。#36 坪井を予選3番手に退けて獲得ポイントを1点にとどめたことで、ギリギリのところでシリーズチャンピオン決定を決勝レースへ持ち越しました。
4番手に#65 佐藤、9番手に#64 山本、10番手にシリーズチャンピオンを争う#5 牧野、11番手に#15 岩佐がつけました。
シリーズ第9戦JAFグランプリ決勝レースは14時30分、気温20℃、路面温度25℃というコンディションのなかでフォーメーションラップが始まりました。
スタート合図の瞬間、抜群のダッシュを決めたのはフロントロー2番手につけた#6 太田でした。ポールポジションからスタートした#16 野尻をかわして、トップで第1コーナーに進入します。その後方では4番手スタートの#65 佐藤が#8 福住仁嶺(トヨタ)にオーバーテイクされ5番手に後退。9番手スタートの#64 山本は2台を抜いて7番手に上がりました。
2番手の#16 野尻はペースが上がらず、2周目の第1コーナーで#36 坪井に、シケインで#8 福住にかわされ4番手に下がると、6周目には#65 佐藤にも先行されポジションを落としてしまいます。
10周目を迎え、多くのドライバーがピットインするなか、トップを走る#6 太田は12周目までピットインを遅らせます。ピット作業を終えた太田は前の周にタイヤ交換を終えていた#36 坪井の前でコースに戻りトップをキープ。しかし、すでにタイヤが温まっていた坪井の猛追を受け、スプーンカーブでテール・トゥ・ノーズまで接近されます。それでも太田はなんとか抑え込み、タイヤが温まるとペースを上げて坪井を突き放しました。
それ以降、#6 太田は周回ごとに#36 坪井とのギャップを築いて危なげなく走りきり、第8戦に続いてトップでチェッカーフラッグを受けました。序盤にペースが落ちていた#16 野尻は巻き返して4位入賞、6位にはSFでの最終レースを走りきった#64 山本が続きました。
最終戦までシリーズチャンピオンを争った#5 牧野はレースペースに苦しみ、最終ラップで#15 岩佐のオーバーテイクを許して8位でフィニッシュ。レース中のファステストラップはルーキーの#50 木村が記録しました。
この決勝レースの結果、#36 坪井がシリーズチャンピオンとなり、ドライバー総合ランキングでは#16 野尻が2位に浮上、#5 牧野は3位で2024年シーズンを終えました。4位には#6 太田が入り、牧野と合わせてシーズン4勝を挙げたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGがチームタイトルを獲得しました。
●太田格之進 Kakunoshin Ohta
#6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING
「第9戦も絶対に勝つという気持ちでスタートしました。加速がよかったので、野尻選手と横並びで第1コーナーに入って前に出られて、後は望み通りの展開になりました。マシンは第8戦同様すばらしくて、ペース的に負ける気がしませんでした」
「タイヤ交換後のアウトラップは苦戦しましたが、坪井選手を前に出したら簡単には抜き返せないと思って、しっかりポジションを守りました。来週はIMSAのテストのためデイトナに行きますが、SFで2連勝してきたという結果を持って、気持ちよく行けると思います」
●山本尚貴 Naoki Yamamoto
#64 PONOS NAKAJIMA RACING
「フォーミュラ・ニッポンから数えて15年という長きにわたり、皆さんに支えていただきながら国内トップカテゴリーで走らせていただきました。本当に皆さんに感謝しています。毎年これが最後だという覚悟を持ってやってきたので、悔いはありません。ただ、正直なところ寂しいなとは思っています。引退発表をしたところ、SNSにファンの方たちからたくさんのメッセージをもらって、こんなに大勢のファンに応援されていたんだなと再認識しました」
「引退はマイナスなことばかりだと思っていましたが、こんなにプラスの気持ちになれるんだと感じられたのは、ものすごい収穫だしうれしい驚きでした。本当に幸せです。ありがとうございました。スーパーGTではまだまだ頑張りますので、これまで通りの応援をよろしくお願いします」