投稿日: 2024.11.12 21:18
更新日: 2024.11.12 21:19

横浜ゴム 2024スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 レースレポート


スーパーフォーミュラ | 横浜ゴム 2024スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 レースレポート

太田格之進選手が今季初優勝、2位に坪井翔選手、3位に牧野任祐選手が入り、チャンピオン争いは2人に絞られた!

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の2024年シーズン最終大会が、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。前回の富士大会に続き1大会2レース制のフォーマットを採用、まずは11月9日(土)に第8戦が行われ、自身初のポールポジションを獲得した太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が終始レースをリードして今シーズン初優勝を飾った。
 
 鈴鹿大会を迎える直前、国内トップ・フォーミュラで3回のチャンピオンを手中におさめてきた山本尚貴選手(PONOS NAKAJIMA RACING)が、今シーズン限りでスーパーフォーミュラから退く決断をしたと発表があった。
 
 第8戦を前に8日(金)には90分のフリー走行が設けられたが、平日にもかかわらず山本選手の応援グッズを身に着けた多くのファンが来場。山本選手はファンたちが見守るなかで、堂々のトップタイムをマークして見せた。

 一夜明けた9日(土)は、9時5分から第8戦の公式予選がスタート。Q1のA組は牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2位の山本選手に対して0.3秒差をつけてトップタイムをマークした。続くB組では、全車がアタックに入ったタイミングで木村偉織選手(San-Ei Gen with B-MAX)がコースオフ。残り時間が3分に延長されて各車がやり直しのアタックに向かったが、ここで十分にタイヤを温められなかったか、野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が7番手にとどまり、Q2進出を逃してしまう波乱が起きた。
 
 トップタイムは坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が記録。タイトル争いのターゲットである牧野選手に対抗するかのように、こちらも2位の太田選手に0.2秒近い差をつけてみせた。

 しかし、ポールポジション争いのQ2で主役となったのは太田選手だった。「Q2では走りの面でチャレンジしたいと思うところがあったのでそれを全部やった結果、2位に差をつけてトップタイムを獲ることができたと思います」と記者会見で振り返った太田選手だが、セクター1、2とコース前半で速さを見せた岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)に対し、セクター3で全体ベストをたたき出して逆転。スーパーフォーミュラ2年目で嬉しい初ポールポジションとなった。

 岩佐選手に続いて3位となったのは佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)で、今シーズンベストグリッドを確保。Q1でともにセッショントップを奪った坪井選手と牧野選手は、Q2ではやや伸び悩んでそれぞれ5番手と4番手に。フリー走行トップの山本選手は6番手から、それぞれが約5時間後に行われる決勝レースを戦うこととなった。

 秋晴れは午後まで続き、決勝レースが始まるころには気温は21度、路面温度は31度まで上昇していた。コース上の他のスケジュールが遅れた関係で、スーパーフォーミュラの決勝レースも当初の予定から10分遅れて14時40分にフォーメーションラップがスタート。各車がコースを1周し、いよいよ31周の戦いの火ぶたが落とされた。

 ポールシッターの太田選手は好スタートを切って先頭で1コーナーへ飛び込んでいったが、フロントロウの岩佐選手はマシントラブルでスタートが切れず最後尾へ後退。代わって佐藤選手が2番手、牧野選手が3番手、坪井選手が4番手とそれぞれひとつずつポジションアップしてオープニングラップを終えた。
 
 予選Q1で敗退し14番グリッドからスタートとなった野尻選手はオープニングラップで5ポジションアップの11番手。さらにここから、2周目に1台、5周目にまた1台と着実にかわして順位を上げていった。

 レースが10周を経過すると、義務付けされているタイヤ交換が可能となる。真っ先にピットに入ってきたのは牧野選手と野尻選手を含めた5台。これに反応するかのように、翌周に佐藤選手、坪井選手がピットへと向かう。ところが佐藤選手のマシンは左リヤのタイヤがきちんと装着されず、ピットアウトした途端に外れてしまった。タイヤが外れた状態のマシンはピットロード上でストップ。チームは急いでマシンを回収しピットへと戻したが、佐藤選手は残念ながらここでリタイアに。
 
 同じタイミングでピットに入ってきた坪井選手はスムーズにタイヤ交換作業を終えると牧野選手よりも前でコース復帰。オーバーカットに成功し、牧野選手に先行する形で後半スティントを開始した。

 トップを快走し続ける太田選手と、各車がピットに入ったことで暫定2番手を走行していた山本選手が12周を終えたところでピットイン。太田選手はそれまでに築いていたギャップも手伝って、事実上のトップを守ってコースに復帰する。
 
 その後も続々とマシンがピット作業を終えていき、全車が作業を終えた19周目には名実ともに太田選手がトップに戻り、その後方には坪井選手、牧野選手が続いた。山本選手はタイヤ交換前の位置から少しポジションを落とし、7番手となっていた。

 その19周目、レースはセーフティカー(SC)が導入される。直前にピットに入った平良響選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のマシンが、ピットアウト直後にタイヤが外れてしまったことが原因だった。外れた右リヤタイヤはそのまま1コーナーを通過し2コーナーのコース脇でストップ。このタイヤを回収するためのSC導入で、作業が終わると23周目にSCが隊列を離れリスタートが切られた。
 
 しかし今度は、24周目のスプーンカーブで大嶋和也選手(docomo business ROOKIE)と笹原右京選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が接触し、大嶋選手のマシンがストップしてしまったため、ふたたびSC導入。リスタートが切られたのは残り3周になったところだった。

 トップの太田選手はリスタート後の3周で自己ベストラップを更新。最終周にファステストラップを更新してみせる勢いでトップチェッカーを受け、自身初のポール・トゥ・ウインを達成した。
 
 坪井選手と牧野選手の2番手争いはお互いにオーバーテイクシステムを使いながら接近戦が展開されたが、最後まで牧野選手の追撃をおさえきった坪井選手が先着。牧野選手とのポイント差を18.5ポイント差まで広げることに成功した。野尻選手は最終的に5位までポジションを上げてフィニッシュし入賞を果たしたが、坪井選手に20ポイント以上の差をつけられ、第9戦を待たずにタイトル争いの権利が消滅。シーズン最後の戦いとなる第9戦では、坪井選手と牧野選手が一騎打ちでお互いに初のスーパーフォーミュラチャンピオンを争うことになる。

■太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
【今回の成績:優勝】

「チームの方たちが作ってくれたクルマが完ぺきで、今日の優勝はそれに尽きると思います。去年の後半ぐらいから予選でフロントロウに並ぶ機会は多かったものの、ポールポジションが獲れていなかったので歯がゆい気持ちが残っていました。今回ポールポジションを獲れて、最後にファステストラップも獲れて優勝できたというのは、100点のレースができたかなと思っています」

「僕はタイトル争いからは外れてしまいましたが、最後に光るものをしっかりと見せることができて良かったです。明日の最終戦は来年に向けていい終わり方ができるよう頑張りたいです」

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