更新日: 2021.10.14 13:51
ヨシムラSERT Motul 2021EWCモスト6時間耐久ロードレース 決勝レポート
2021年10月9日
2021年 FIM世界耐久選手権 第4戦 モスト6時間レース
会場:チェコ オートドロム・モスト
ヨシムラSERT Motulが2021年 FIM二輪世界耐久選手権タイトルを獲得
FIM二輪世界耐久選手権(EWC)に、スズキのメーカー委託を受けてワークス参戦するヨシムラSERT Motulは、ファクトリー参戦初年度にして、初タイトルを獲得した。スズキとしては、名門チームのSERT(スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)による2年連続17回目を含んで、20回目のEWCタイトルを獲得した。
2021年シーズンは、開幕戦のル・マン24時間、そして第3戦ボルドール24時間という二つの伝統ある24時間耐久レースを制するという好成績でシーズンを戦った。全4戦のレースでの総走行距離は10,138km、2,171ラップにも及び、昼夜を問わない過酷なレースを一体感のあるチームワークで制し、GSX-R1000Rの高い戦闘力を証明した。
2021年 EWC 第4戦(最終戦)は10月9日、チェコ共和国のオートドローム・モストにて行われ、スズキファクトリーチームとしてGSX-R1000Rを走らせるヨシムラSERT Motulは計算されつくしたレースをミスなく走り切り、2021年世界耐久選手権のタイトルを獲得した。
最終戦の前戦である第3戦終了時にはポイントランキングでリードを築き、余裕をもって最終戦に挑めるポジションを確保できていた。しかしタイトル獲得を確実にするにはこのモストにおいても結果が求められ、グレッグ・ブラック、ザビエル・シメオン、シルバン・ギントーリ各選手は気を引き締め、6時間という短い戦いに臨んだ。
今回もスタートライダーは冷静さが持ち味でスタートが得意なブラック選手が担当、予選3番手のポジションからまたもやホールショットを決めた。耐久レース経験豊かなブラック選手は、ライバルチームにプレッシャーをかけつつも無理なく走行し、3番手で第1スティントを終えシメオン選手へと交代した。
共に様々なレース経験と実績のあるシメオン選手、ギントーリ選手も同様に、スムーズでミスのない走りに徹し、上位ポジションをキープしたままレースは進行。主要ライバルチームにはいくつかのインシデントも起きたが、ヨシムラSERT Motulのライダー達はミスなく3番手を守ったまま順調に周回を重ねていった。
レース後半も堅実で安定した走りを続け、順位を保ったままチェッカーを受け、ヨシムラSERT Motul は3位表彰台で最終戦を終えた。この結果チームは175.5ポイントを獲得し、総合2位の#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM に42.5ポイントの差をつけて2021年FIM EWCチャンピオンに輝いた。
これはスズキとして通算20度目の世界耐久タイトルであり、その内17回はSERT(スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)によるもの。今シーズンは新生ヨシムラSERT Motulの初参戦で、シリーズチャンピオンを獲得した。日本とフランスの合同チームが初年度でこの様な結果を残すことができたのは、チームにとって意味のある歴史の1ページとなった。
ヨシムラ SERT Motul ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
「タイトル獲得のためここモストに来て、同時に表彰台も獲得できれば言うことはないと思っていました。バイク・タイヤ・ライダーのパッケージはとてもバランス良く、リスクは最小限に、それでいてチャンスはしっかりとものにしていける体制となっていましたので、ミスさえなければチャンスをものにできると確信はありました。ゴールラインでは歓びと感動、そしてヨシムラに対して大きな感謝の念でいっぱいになりました。ヨシムラとの協力関係により素晴らしい仕事を成し遂げることができ、このチームをとても誇りに思っています。前監督のドミニク・メリアンは信頼をもってSERTチームを私に託してくれました。新生チームのマネージャーとして、タイトルを獲得できたことを嬉しく思います」
ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「ヨシムラSERT Motulとして臨んだ初年度にタイトル獲得を果たせて、とても嬉しくそして誇りに思っています。スズキのファクトリーチームとして耐久選手権を戦うことに大きな覚悟をもって臨みましたが、結果としてル・マン、ボルドールという2つの24時間耐久で勝利を収めるという、夢が叶ったシーズンとなりました。今回のタイトルは新生チームにとって初の獲得、スズキにとっては20回目となりました。今後もGSX-R1000Rを更に良いパッケージへと進化させるべく、スズキとヨシムラとSERTは互いにリスペクトしつつ共に働き、ワンフォーオール・オールフォーワンの精神で進んでいく所存です。初年度の結果としてタイトル獲得は、関係者の皆さん全員に対する最高のプレゼントとなりました! 多くのヨシムラ、SERT、そしてスズキファンの、ヨシムラSERT Motulに向けられた温かいサポートに感謝します。来年度もまた魅力的なチャンピオンシップを展開し、多くのファンの方々に楽しんでいただくと同時にタイトル防衛に全力を尽くします」
ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手
「耐久レース界においてSERTは常にトップチームでした。そして今回のヨシムラとの協力関係により、信じがたいほどに素晴らしいバイクを手に入れることができました。素晴らしいチームと素晴らしいバイク、このGSX-R1000Rに乗れることはまさに歓びでした。レース戦略においてもチームはいつも良い作戦を持っていました。耐久レースにおいては速いライダーが勝つとは限りませんから、こういった作戦やチームワークは大切なのです。この新生ヨシムラSERT Motul、そして新しい2人のチームメイトと共にこのシーズンを戦えて幸せです」
ヨシムラ SERT Motul ザビエル・シメオン 選手
「レース中、オイルに乗ってしまいあわや!という瞬間がありましたが、チームとしてタイトル獲得のため転倒は絶対にあってはならない、このシチュエーションを奇跡的に持ち直し、転倒を免れました。第2戦のエストリルで失ってしまったポイントを回復しなければいけなかったボルドールに比べればプレッシャーは少なかったですが、ここモストでは丁寧で確実なレース進行をすることができ、大変な努力をしてきたチームに無事タイトルをもたらすことができました」
ヨシムラ SERT Motul シルバン・ギントーリ 選手
「このシーズンは全てが予定通りに進んでいくという、耐久選手権としては夢のようなシーズンでした。ハイライトはル・マンとボルドールという2つの24時間耐久レースでの勝利。いずれもいつかは勝ちたいと夢見たレースであり、ヨシムラSERT Motulのライダーになった時もこの2つの24時間耐久での勝利は頭にありました。全てのスタッフにとってこのタイトル獲得は、様々な苦労が報われた素晴らしい結果です。最終戦モストには表彰台に登ることとチャンピオンシップタイトルの獲得を目標に乗り込んできたので、ミッションは果たせましたね!」