MotoGP現地トピックス:ムジェロを覆う黄色い煙。多くのライダーがヘイデンを追悼
MotoGP3勝目を達成のアンドレア・ドビジオーゾ。2009年のイギリスGP(ホンダ)と昨年のマレーシアGPは、ウエットコンディションでの優勝だったが、今大会はドライコンディションで初優勝。
しかも、ホームGPということで、ドビジオーゾは「イタリア人にとってイタリアGP制覇は夢。最高に嬉しい」と喜びを爆発させていた。
そして、ドゥカティにとっては、2009年のケーシー・ストーナー以来、8年ぶりのホームGP制覇。ドゥカティのクラウディオ・ドメニカーリCEOも、優勝のドビジオーゾ、3位のダニロ・ペトルッチに挟まれて感激一入だった。
2戦連続優勝を果たせずも2位でフィニッシュしたマーベリック・ビニャーレス。今季4回目の表彰台獲得でランキング2位以下にリードを築いた。
ビニャーレスは「ドビジオーゾを全力で追ったが、バレンティーノとマルクの位置を見て、2位キープすることにした」とチャンピオンシップを考えて着実に走ったとコメント。
これで総合2位に浮上したアンドレア・ドビジオーゾに26点差。シーズン3分の1を終えて、念願のチャンピオン獲得に向けて、まずは一歩前進。シーズン中盤戦でさらに引き離す意気込み。
フロントタイヤのフィーリングに苦しんだマルク・マルケスは6位。前戦フランスGPでシーズン2度目の転倒リタイヤを喫しているだけに、我慢の走りに徹して完走を果たした。
今年も一進一退のチャンピオン争いで大接戦。昨年の経験をどこまで生かすことが出来るのか。これから正念場となるシーズン中盤戦を迎える。
今大会でマルケスは左腕にニッキー・ヘイデンの『69』の喪章をまいた。
Moto2クラスは、予選2番手のアレックス・マルケス、3番手のマッティア・パシーニ、4番手のトーマス・ルティがトップグループを形成。ポールポジションスタートのフランコ・モルビデリがやや遅れて4番手という展開となり、パシーニが素晴らしい走りで09年のイタリアGP以来の優勝を達成した。
パシーニは、6~7コーナーに掛けてが圧倒的に速くて、このポイントで常に逆転して戦いを有利に導いた。
子供のころの怪我で右手にハンディキャップを抱えるパシーニ。モト2時代になってからは良い体制に恵まれなかったが、8年ぶりの激走に大きな拍手が送られた。
予選5番手から好スタートを切るも、オープニングラップの最終コーナーでロレンソ・バルダッサーリの転倒に巻き込まれてリタイヤに追い込まれた中上貴晶。第4戦スペインGPに続いて、今季2回目の巻き込まれ転倒の被害者になった。
「悔しいというよりも、“なんで”って気持ち」と中上。優勝したのはマッティア・パシーニ、2位にトーマス・ルティ、3位にアレックス・マルケス。中上は「レースペースは想定内。絶対にいいレースが出来た」と悔し涙を浮かべていた。
スペインGPで15位ポイント獲得した長島哲太は、フランスGP、イタリアGPと、2戦連続でポイントを獲得できない苦しいレースが続いている。
今年の課題は、予選グリッドの悪さ。それを解消するために一発のタイムを狙うセッティングでレースウィークに挑んでいることが良い方向につながっていないようだ。
最大の課題はフロントのフィーリング。一発のタイムを狙いすぎて転倒が多いことも、結果的に攻めの走りが出来なくなっている要因のひとつ。長島は「うまく行かないですね」と、ポイント獲得まであと一歩のレースにフラストレーションをためている。