更新日: 2021.09.18 18:15
【ブログ】8年ぶりのアクロポリス、トヨタ勝利の裏に小さなTGR応援団の力あり?/WRCギリシャ現地特派員(前編)
2019年にオートスポーツweb現地特派員としてWRC世界ラリー選手権第10戦ドイツと第11戦トルコの模様を伝えてくれた、ラリー好きのグラフィックデザイナー『CHOCO CIDER』さんが約2年ぶりに現地観戦を再開。2001年からシリーズをフォローする生粋のラリー好きならではの目線で、ふたたび現地の雰囲気をお届けします。
今回は2013年以来、8年ぶりにWRCのシーズンカレンダーに復帰した第9戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』より、マディなコンディションとなったラリー初日の木曜日と、しっかりと砂埃を浴びた金曜日の様子をお伝えしたいと思います。
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コロナ禍の影響で当たり前のことが不可能になり、私自身もWRCの現場から離れざっと2年。
今春にアクロポリス・ラリー復活とのニュースを聞き、これは何が何でも行かねばと決意。ワクチン接種とワクチンパスポート取得を前のめりで済ませ、PCR検査陰性証明書も引っさげ、8年前に堪能したエメラルドグリーンの海へ再会する為にアテネへ飛びました。
入国の拒否や、現地の方々がどの程度の感染症対策をしているのか、街の様子はどうか、山火事はどうか等、期待よりも不安と恐怖が先回りしておりましたが、アテネ空港の軽すぎるイミグレーションに、少々肩透かしを食った結果になりました。
さて、以前までのラリーの拠点はアテネから西へ100kmに位置するルートラキでしたが、今年はラミアへ移動します。“移動”というよりも、ラミアへ戻ったという表現の方が、往年のラリーファンの方々には馴染むかもしれませんね。
定番だった6月開催から9月上旬開催とのことで、私を含め多くの人間が6月と変わらず、炎天下の暑いラリーを予想しておりましたが、ラミアはアテネから北へ200km離れているせいか、近辺はラリーGBを思わせるような不安定な天候に。夏服を中心にスーツケースに入れていた私はいきなり出鼻を折られた状態です。
雨天の場合は無理して観戦しないルールを私自身に設けておりましたが、2年ぶりのWRC観戦ということもあり、悪天候の木曜日シェイクダウンから、なんとか早起きをして足を運んでみました。
駐車ポイントへたどり着くのもひと苦労なほど、一般道の路面ですらクルマのケツをズルズル滑らせながら走行しないといけないほどのマディコンデション。
久しぶりの山道を1kmほど歩けば息が上がってしまうのは、マスクのせいか、運動不足のせいか……。それでも、行く先々で知った面々に再開できると、やはり現場が一番楽しいと再認識しました。
撮影場所も傾斜のある泥サーフェスで、うっかりすると滑り落ちてしまうほど、真っ直ぐに立つのもひと苦労です。
本来なら、日除けとして活躍するパラソルも、雨避け用に変身。私以外は皆さんしっかりと冬のような装いで、本当にここはギリシャかと疑ってしまいます。
今回、ギリシャで構えた宿はアテネとラミア近辺ですが、スペインとは違い各宿にセントラルヒーターがちゃんと完備されているのを見ると、冬はしっかり冷える国なのかな、と考察。
現場から離れていた2年間、カメラも最後の2019年ラリー・トルコ以来の解放でしたので使い方を忘れてしまい、ほぼ初心者のような状態で四苦八苦。
そんな初心者のような状態だったからか、撮影ポイントを変えるために泥斜面をウロウロ移動していたら、見事にズルっとすっ転びました。
クルマに戻っても、パンツやカメラ、靴に付着した泥がなかなか落ちきれず、まだ木曜日の午前中なのに、このまま1日を過ごすのかと、ギリシャの神々からの何かしらの試練を与えられた気持ちです。
致し方ないので、ボロ雑巾のような状態でサービスパークへ移動。
コロナを危惧してなのか、天候のせいなのか、木曜日のサービスパークは閑散とした印象です。
トヨタのテントへ足を向けると、オンラインでファンに向けてメッセージを送るセバスチャン・オジエを発見。
こういったオンラインを使って、よりファンと繋がる行動もコロナ禍以前だったら発想しなかったサービスなのでしょうね。
その真後ろには、なぜか手持ち無沙汰なヤリ-マティ・ラトバラ新チーム代表の姿が。
ドライバーとしての彼を2005年のラリージャパンから観てきていたので、ドライビングスーツを着ずにサービスに居る姿を見ると少し寂しさを感じてしまいます。
ヒュンダイのテント前に伺うと、なんとも可愛らしいスペクテイターに遭遇しました。
TGRの手旗を振っていますが、一応ヒュンダイ前です(笑)
幼稚園の引率のようで、よく見るとマスクが可愛いクルマ柄だったり、何気にTPOを(旗の種類以外は)しっかりわきまえたデキるキッズたちです。
ご近所のテントには2003年ワールドチャンピオンであり、“私のヒーロー”でもあるペター・ソルベルグが、息子のオリバーのテントに奥様のパニラ夫人とともに時間を過ごしておりました。
程よいシルバーヘアとヒゲが絶妙に似合っていて、歳をとってもなお、相変わらずの男前っぷりです!