ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.06.01 09:54
更新日: 2024.06.01 10:18

“戦略失敗”の雨は「本当にヤバかった」。フェラーリ499P最大の弱点は不安定なコンディション?


ル・マン/WEC | “戦略失敗”の雨は「本当にヤバかった」。フェラーリ499P最大の弱点は不安定なコンディション?

──昨年のWECのスパやル・マン、今年のイモラでは突然の雨に見舞われましたが、実際にウエットコンディションでハイパーカーをドライブしていている際のフィーリングはどんなものなのでしょうか?(※2024年第2戦イモラでフェラーリは『不正確な天気予報』と、『コミュニケーションの破綻』により3台のクルマの戦略が分けられず、勝機を逃した)

MM:とてもとてもトリッキーだ。(しばらく無言になり、深く息を吐く)特に雨の降り始めや止んだ後に、まだ路面が濡れている状況でのスリック走行は、言葉に表すのがちょっと難しいほどに、高い集中が要される。特にイモラで雨が降った際にスリックで走行していた時は、本当にヤバかった。相当にタフな状況だった。

──WECではタイヤウォーマーが禁止されている中で、ウエットタイヤのウォームアップはいかがでしょう?

MM:雨の中をスリックタイヤで走るトリッキーな状況を考えれば、タイヤは冷えていてもウエットタイヤで走る方がうんと安定していて、1ラップ、多くとも2ラップ目でタイヤは温められていると思う。周りが思うほどには、ドライバーは冷えたレインタイヤをさほど問題としていない。

──ある意味、レースにはギャンブル性もつきものなのでしょうか?

MM:モータースポーツではラッキーもアンラッキーもある。トリッキーでとんでもなくドライブが大変なだと分かっているにも関わらず、時には雨を欲している自分もいる。それらも含めて『僕らのゲーム』の一部だと思っている。

 チームだって、僕だってミスを犯すこともある。もちろん、誰もがそれをわざと行っているわけではないが、運が悪いタイミングや、最初の計画や戦略とは違った方向に行くことさえあるだけに、それもギャンブル性と言えるのかもしれない。

 フェラーリ499PをWECやル・マンでドライブすることが許されている者としては、誰だってフェラーリのドライバーとして歴史に名を刻みたいと願っているし、いち早く頂点に立ちたいと焦る気持ちもある。

 さっきも言ったとり、僕らに圧倒的に欠けているのは経験値だ。だが、僕らはフェラーリというブランドを背負うトッププロフェッショナルなチームだ。チームは若いが、このプロジェクトのことや、すべきことが何なのかは、きちんと理解している。

フェラーリの『499P』理解度は約8割。「残り20%をうまくコントロールする必要がある」/WEC
フェラーリAFコルセの『フェラーリ499P』 2024年WEC第2戦イモラ6時間レース

──スパはル・マンへの最後の実戦テストとしてのレースでもあり、各チームはさまざまなテストプログラムを用意していたかと思います。

MM:スパはもちろんル・マンを前にした最も大切なレースだと言える。ただ、マシンやパーツ類はすべてホモロゲーションを受けており、LMP1の時のような『ル・マン用の秘策』といいったパーツは用意できないし、ハイパーカークラスの全チームが同じ条件で戦う。それよりも大切なのは、カタールから積み重ねてきた物事、たとえばマシンやパーツといったものを、ル・マンでも正常に機能させられるのか、ということの方が大切だと思う。

 タイヤで左右されることも多いだけに、タイヤがどう影響を与えるのか、タイヤマネジメントをどうするのか、いくつかのスパのレース中のスティントでは、ル・マンに向けてのテストをレース中にすることになっている。

──フェラーリはプライベーターも含めて3台の参戦ですが、情報の共有はされているのでしょうか?

MM:3台で情報を共有することで団結して砦となれるし、車両の向上を目指す上では3台が協力することが不可欠だ。よいセットアップだった時やトラブルの原因を探る際に、3台のデータを比較できるのは利点であり、インフォメーションの共有はポジティブにしか捉えていない。

フェラーリ499P
『3台目』のフェラーリ499Pとして2024年WECにエントリーしているAFコルセの83号車


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