更新日: 2024.09.03 18:38
不可解なペナルティに「少し混乱」/可夢偉の得意技/圧倒の『アベレージ最速男』etc.【WECオースティン決勝後Topics】
トヨタの2台の中で、COTAでダブルスティントをこなしたのは可夢偉だけだった。マイク・コンウェイとニック・デ・フリースは最初の4時間、7号車のハンドルを交代で握り、ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮は8号車を1スティントごとに交代でドライブした。
これについて、フルーリーは次のように説明した。
「今日はかなり暑かったので、ドライバーがクルマに戻る前にクールダウンできる方が良いと考えた。(ダブルスティントをこなすのは)可夢偉の好みで、レースの終わりは少し涼しくなるからだが、彼は誰よりもそれにうまく対処している」
■メーカー選手権4位はアルピーヌ
COTAでの勝利を逃したにもかかわらず、トヨタはマニュファクチャラーズ選手権で首位に立っている。FIAワールドカップ・フォー・ハイパーカーチームに登録された車両(今回の場合は83号車フェラーリ)はマニュファクチャラーのポイントにはカウントされないため、7号車が2位に入ったトヨタは、COTAで最高ポイントを獲得した。
トヨタは2レースを残し、ポルシェに11ポイントというわずかなリードを保っている。フェラーリはトヨタから19ポイント差で3位につけている。
なお、この選手権の4位、いわゆる『ベスト・オブ・ザ・レスト』の位置にはアルピーヌがつけている。これにBMW、キャデラックが続いている。
■空力にダメージを負っていたキャデラック
2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング) は、オープニングラップでの接触により右フロントのカナードが外れ、レース全般にわたって軽微な空力的ダメージを受けることとなった。
アール・バンバーはレース後に、チームはトップ5のポジションをめぐる熾烈な戦いの最中に時間を無駄にしないために、ノーズ交換をしないことにしたと明らかにした。
■プジョー、ハイブリッドトラブルで1台を失う
ステランティス・モータースポーツの上級副社長、ジャン・マルク・フィノーは、94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)が1周目にパンクし、早い段階で「レースから外れ」、最終的にはハイブリッドのトラブルでリタイアしたことを嘆いた。
「93号車は、まったく問題なかった」とフィノーは付け加えた。
「だが、予想していたよりも今日のコンディションはそれほど厳しくなかった。予選では、コースは予想以上に厳しかったので、デグラデーションに対処する必要があった。調整する必要があり、予想していたペースには達しなかった」
■プライベーター選手権首位の12号車ポルシェ、苦闘
今季初めてFIAワールドカップ・フォー・ハイパーカー・チームでポイントを獲得できなかったにもかかわらず、ハーツ・チーム・JOTAの12号車のエントリーは、83号車のAFコルセ・フェラーリに対して30ポイントのリードを維持している。
JOTAドライバーのカラム・アイロットはレース後、ノルマン・ナトが運転中に電気系統のトラブルが発生した後、12号車ポルシェ963が「何度も止まった」と述べた。
アイロットは次のように語った。
「富士までのインターバルが短いため、パワーリセットを行い、問題を解決するために試行錯誤を続けた。原因は分かっていると思うが、レース中に変更するには時間が長すぎた。レースに支障をきたさないように、できるだけ賢明に行動した。最後よりも30分早くコースアウトすることもできたが、ハイパーカーのピットストップに支障をきたしただろう。だからそれを避けようとしたのだ」
■LMGT3のアベレージ最速はファーフス
マンタイ・ピュアレクシングのアレクサンダー・マリキン/ジョエル・シュトーム/クラウス・バハラーの3人はLMGT3で2位となり、マンタイのチームメイトであるヤセル・シャヒン/モーリス・シューリング/リヒャルト・リエツとの差を28ポイントに広げた。
レース後半にビスタAFコルセの55号車フェラーリ296 GT3が3番手から脱落した100秒のペナルティは、パワートレインの最大許容出力を5%超えた結果、科せられたものだった。
チームWRT31号車BMW M4 GT3のドライバー、アウグスト・ファーフスは、LMGT3で最速のスティント・アベレージをマークし、『グッドイヤー・ウイングフット・アワード』を受賞した。このブラジル人は、マンタイのシューリングとハート・オブ・レーシングのリベラスを大きく上回り、今季のウイングフット・ランキングでトップに立っている。
デニス・オルセンは、Sportscar365に対し、ステアリングラックの破損が88号車フォード・マスタングGT3のレース後半のリタイアにつながった可能性が高いと明かした。
「ここは厳しいトラックだが、少し意外だった。クルマはこれまでとても丈夫だった。でも、今年は初年度なので、僕らはチューニングと改善を続けなければならない」
■完走したのは36台中28台のみ
COTA に出場した36台のうち、完走したのはわずか28台となった。これは、今年これまでで最小だ。これほど少ない台数が完走したのは、2020年のバーレーン8時間レースが最後で、このレースではスタートした24台全車がチェッカーフラッグを受けている。
WECは、COTAでの3日間の観客動員数を6万5089人と公式に発表した。これは、2020年にこのシリーズが前回このトラックを訪れた際の2万2000人という数字を、大幅に上回るものだ。
WECの次戦第7戦は9月13〜15日、日本の富士スピードウェイで行われる富士6時間レースとなる。