更新日: 2020.06.16 10:17
相次ぐワークス撤退。今こそGTクラスの統合を再考するとき【ジョン・ダギーズのGTEコラム前編】
Translation:AKARAG
もしもBMWが違う方向へ進むことを決断した場合、後には何が残るだろうか。それは2008年のALMSアメリカン・ル・マン・シリーズのシーズンの繰り返しになるかもしれない。そのときはコルベットが事実上無競争の状態で、今は廃止されているGT1クラスを走行したのだ。
シボレーのファクトリーチームを運営するプラット・アンド・ミラーが出場マシンの多いGT2クラスに加わったのは2009年半ばのことだった。当時、このクラスはファクトリーもプライベーターチームも同様にしのぎを削っていた。
それから早くも11年が経ち、IMSAは同じ岐路に立たされている。プロダクションベースのランクにおいて、クラス崩壊の可能性があるのだ。
プライベーターのポルシェ、フェラーリ、アストンマーティンGTE勢がWECやELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズから流れてくるわずかな希望を除いては、新たな展開は見えていない。今こそ長きにわたって話し合われてきた“GTクラスの統合”について再考すべきだ。
GTの単一プラットフォームのコンセプトは、マニュファクチャラーと運営団体の間で過去10年近くにわたって熱心な議論が行われてきた。
そのなかで少なくとも2回、具現化に近づいた機会があった。最近のコンセプトは、必然的に一般的なGT3スタイルのベースプラットフォームに加え、上位クラスはパフォーマンスの強化を図るというもの。すべてのプロフェッショナルクラスで、ProとPro-Amカテゴリーを明確に区別できるものになる。
しかし、この提案は最終的にいくつかのマニュラクチャラーが却下した。だが、この当時は半ダース近くのマニュファクチャラーがGTEに関わっていた時期なのだ。
来シーズン、IMSAに残るマニュファクチャラーは2社である可能性が高く、WEC権に残っているのもたったの3社だ。仮に来年、ポルシェが世界各地を回るチャンピオンシップを継続することにしても、IMSAとACOはグリッドを健全化し、新規参入しようとするOEM候補を逃さぬように積極的な動きをとる必要がある。
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