更新日: 2018.08.16 22:21
アメリカIMSAの現場から感じるWEC/ル・マン24時間2020年レギュレーションへの懸念
彼らは自分たちの直面している危機を正しく理解できていないということだ。
置かれた状況はF1と大きく変わらない。参戦費高騰にかける歯止めが十分ではない。技術競争はレースの大きな魅力のひとつだが、そればかりを重視すれば参戦メーカーは増えない。参戦経費を抑制しつつ、ファンが見てエキサイトできるレースを実現すべき時代になっている。
しかし、ル・マンもF1も自分たちの理想を掲げ、ファンがそれを盲目的に受け入れてくれると考えている。そういう時代はとっくに終わっているというのに、だ。
ファンにサーキットでのレース観戦を楽しんでもらうためには、彼らの求めているエンターテインメントを提供しないとならない。そのために知恵を絞り、アイデアを出し合ってファンを惹きつけるようにしなければ、レースの世界に未来はない。
DPiを丸々そのまま受け入れろとは言わない。アメリカがすべて正しいというわけでもない。もう少し先端技術が入り込むスペースを与えることも、魅力が増えるのならトライすべきだろう。本来2番目のカテゴリーであるLMP2とは一線を画すのも正しい考え方かもしれない。
結局は、複数の、それも2メーカーとかではなく3社や4社と、多くの自動車メーカーが一斉に参加してくれるようでないと、ル・マンが栄光と人気を取り戻すことはできないだろう。
サッカー・ワールドカップの成功を目の当たりにしている今だけに、現状打開の必要性を痛切に感ずる。世界的にモータースポーツは考え方の根本を変えるべき大きな転換期に直面している。そこを理解し、世界中のファンがエンジョイできる魅力あるカテゴリーを創出して欲しいものだ。