更新日: 2024.08.05 18:34
ホンダ 2024スーパーGT第4戦富士 レースレポート
シビック・タイプR-GT初勝利&ワン・ツー・フィニッシュで富士を制す
8月3日(土)、4日(日)、富士スピードウェイ(静岡県)でスーパーGTシリーズ第4戦「FUJI GT 350km RACE」が開催され、GT500クラスに5台のホンダ・シビック・タイプR-GT、GT300クラスに1台のホンダNSX GT3が出走しました。第2戦、第3戦と決勝は基本的に2回のピットストップを挟む3時間のフォーマットのレースでしたが、今回は1回のピットストップを挟む走行距離350kmのレースとなりました。
前回のレースからほぼ2カ月のインターバルを置き、すっかり梅雨が明けた3日(土)の富士スピードウェイは、上空に薄い雲が流れるものの、雲の隙間から夏の太陽が照りつけるコンディションとなり、気温、路面温度ともにどんどん上昇するなかで午前中の公式練習セッションが始まりました。
走り始めたシビック・タイプR-GTは、定評のある直線スピードを活かしてタイムを短縮していきます。64号車 Modulo CIVIC TYPE R-GTの伊沢拓也/大草りき組がトップタイム、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴/牧野任祐組が2番手のタイムで午前中の公式練習セッションを終え、午後の公式予選に臨みました。
気温33℃、路面温度55℃と過酷なコンディションのなか、15時03分から公式予選Q1セッションが10分間で行われました。100号車(牧野)、64号車(大草)、8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(松下信治)がワン・ツー・スリーを独占。さらに16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹)、17号車 Astemo CIVIC TYPE R-GT(太田格之進)が続き、CIVIC TYPE R-GTが上位に並んだ状態でQ2セッションを迎えました。
15時59分から10分間の公式予選Q2セッションが行われました。気温、路面温度は若干低下気味となるなか、タイムアタックが繰り広げられ、合算タイムで8号車(野尻智紀)がポールポジションを獲得。これに100号車(山本)、64号車(伊沢)が続き、CIVIC TYPE R-GT勢がスターティンググリッド1-2-3番につけました。また、17号車(塚越広大)が5番手、16号車(佐藤蓮)が10番手と活躍が光りました。
翌4日(日)も朝から快晴に恵まれました。14時30分に決勝レースのスタートが切られると、ポールポジションの8号車(野尻)、続く100号車(牧野)、64号車(伊沢)が1-2-3番手で順位をキープ。先頭を走る8号車(野尻)は序盤からハイペースで周回を続け、2番手の100号車(牧野)との間隔をじりじりと離していきます。
レースの折り返しを前に、64号車(伊沢)は背後につけていた14号車に接近を許します。26周目の最終コーナーでオーバーテイクされ、CIVIC TYPE R-GTのワン・ツー・スリー体制が崩れてしまいました。
しかし、その後も8号車(野尻)と100号車(牧野)はトップ2を守ったままレースは進みました。100号車(牧野)は32周、8号車(野尻)は34周を走ってピットに入り、ドライバー交代、給油、タイヤ交換を行いました。
ピットインの前までは約4秒あったトップ2の8号車(松下)と100号車(山本)のギャップは、徐々に縮まっていきました。1秒強まで接近された段階で8号車(松下)がスパートし、100号車(山本)との間隔を引き離しにかかります。レースはそのままフィニッシュを迎え、8号車(松下)が勝利のチェッカーフラッグを受けました。100号車(山本)は2位でゴール、シビック・タイプ-GTは初優勝のみならず、ワン・ツー・フィニッシュも成し遂げました。
64号車(大草)は6位、17号車(塚越)は8位に入賞し、それぞれ選手権ポイントを獲得しました。この結果、100号車(山本/牧野)は獲得ポイントを37点に伸ばしランキング2位に浮上。8号車(野尻/松下)は26点でホンダ勢の中で2番手のランキング6位と躍進しました。
●佐伯昌浩 Masahiro Saiki
HRC SGT Large Project Leader
「新しいシビック・タイプR-GTを投入した今シーズン、4戦目でやっと優勝できてホッとしています。前半3戦、予選ではいい戦いができていましたが、決勝ではトラブルが出たりレースペースが足りずに順位を落としたりと苦しい流れが続きました。しかし今日は、予選からのポジションをきっちりキープしたままチェッカーまで持っていけました。ただレースペースが上がらなかったマシンもいるので、解析を進めて全体の底上げを図り、全車でチャンピオンシップを目指して頑張っていきたいと思います」
●野尻智紀 Tomoki Nojiri
#8 ARTA
「ここまで、途中でどこか歯車がかみ合わなくなるレースがいくつかあったので、このレースで絶対勝つんだという思いで終始フルプッシュして後続の牧野選手を引き離しました。そうしたら思った通りにギャップも広げられたので、自分のスティントでやれることは最大限やれたと思います。光栄にもシビック・タイプR-GTの開発を担当させていただきましたが、ストレートスピードとコーナリングのバランスを取ることに時間がかかり、優勝まで少しお待たせしてしまいました。でも初優勝を自分の手で達成できたので、非常にうれしく思います」
●松下信治 Nobuharu Matsushita
#8 ARTA
「勝てそうで勝てないレース、表彰台に上がれそうで上がれないレースが何回か続いたため、今回の優勝はすごくありがたく感じています。ファーストスティントの野尻選手のペースがよく、2番手との間隔をピットストップでなにかあっても大丈夫なレベルまで開いてくれたのが一番の勝因です。私のスティントは周回数が多かったので、暑いしタイヤの摩耗度合いも読めなかったので、とにかく落ち着いて走ろうと考えていました。そのため100号車に対して少しペースが遅かったのですが、ミラーに映るようになってからは、このままではいけないと思いペースを上げました。その後はコントロールしながらレースができました」