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投稿日: 2024.06.27 18:52
更新日: 2024.06.27 19:05

「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意


ル・マン/WEC | 「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意

 マルチマチックのスペシャル・ビークル・オペレーションズ担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるラリー・ホルトは、次世代LMP2規定の改正計画を承認し、同社の関与を認めた。

 ワトキンス・グレンで行われたSportscar365の取材に応じたホルトは、フランスのオレカ、リジェ、イタリアのダラーラの代表とともに、先月パリで行われたACOとの会議に出席し、そこでコンストラクターたちに新しい計画が明らかにされたことを明かした。

 同氏はまた、ポルシェ963のためにマルチマチックが製造したものを含め、LMDhスパインから脱却するという選択に賛成だと語った。

「これはクリーンシートのデザインだ。(LMDhを使う)やり方は、当時まったく理にかなっていなかった」とホルト。

「LMP2とLMDhで共通のシャシーを持つことは、私のようなコンストラクターにとって、投資に対するメリットだった。その後LMDhが先になった。そして、そうなった途端それが正しいやり方だったのかどうかつねに疑問を抱くことになる」

「新しい計画を支持するよ。なぜならLMP2は手頃な価格になるべきだからだ。LMP2で、この(LMDhの)バスタブをどうするんだい? バッテリーシステムがあった場所が空洞になってしまうんだ」

「LMDhが一定のレベルであるため(シャシーに)施されたことはたくさんある。例えば、ポルシェ963のフロントサスペンションはかなり洗練されている」

「もっと手頃な価格のクルマを作るとしたら、ベース車に搭載されているものを使わざるを得ない。そして、このコスト上限でなければならないんだ」

 これと同時にホルトは、LMP2コンストラクター4社のうち1社が、2007年モデルでオレカが達成したように、新規定のなかでふたたび圧倒的なシェアを占めることになりかねないと警告した。

 しかし、ACOとFIA国際自動車連盟はこのクラスにBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)を導入する予定だという。

「誰かが最高のマシンを持ち、また36人の顧客を獲得することになるだろう」と現在のオレカ07の参戦台数から、ホルトは推察して語った。

「仮に(グリッド全体が)40台として、全員(コンストラクター4社)が10台ずつ手に入れたとしても、開発に100万ドルも200万ドルも費やせば、(1社あたり)10台では元が取れない。利益を出すためには性能競争に勝たなければならない。あるひとりが勝ち、みんながお金を賭けるような競争環境でなければならない」

「我々は大物だ。4つのライセンスコンストラクターのひとりであることを諦めるつもりはないし、もし100万ドルや200万ドルかかるとしても、私はそうする」

 昨年、ギブソン・テクノロジーが2030年までのLMP2エンジンプロバイダーとして発表されたにもかかわらず、ルキアンは次世代レギュレーションでもイギリス企業がエンジンを供給し続けるかどうか確認することを拒んだ。しかしホルトは、2017年の現行レギュレーション導入以来のギブソンの実績を称賛し、同社製エンジンが継続されることを望んでいるという。

「信頼性、走行距離、コストの面で、彼らは信じられないほど良い仕事をしていると思う」とホルトは述べた。

「ただ、制裁機関がターボについてやバッテリーについてなど要求し、先走ってしまわないことを願うばかりだ」

「LMDhを見てみろ、複雑だ。カスタマー・レーシングではバッテリーも制御ソフトも、すべて本当に難しいんだ」

「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意
LMDhマシンとして現状唯一カスタマーへ提供されているポルシェ963(JDCミラー・モータースポーツ)


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