更新日: 2021.10.30 23:01
ルーキー・オブ・ザ・イヤー候補3人の“本音”。新王者の野尻は決勝に向け試行錯誤【第7戦JAF鈴鹿GP予選】
「僕、実は(ルーキー・オブ・ザ・イヤーに関しては)まったく調べていないので……正直、ルーキー・オブ・ザ・イヤーは意識せずに、自分のベストを尽くせば、自ずと結果はついてくると思います。そこに執着せずに、まずは決勝で速く走ることに集中していきたいですね」
ルーキー・オブ・ザ・イヤーの争いの中で、現在トップにつけているのが阪口だ。ただ、今週末は走り出しから上位に食い込める手応えがなかったという。
「朝のフリー走行から厳しかったのでQ3にいけそうな雰囲気はあまりありませんでした。ポジションで言っても、朝とあまり変わらない順位です。今回でいうと、改善を施してきたチームがいくつかあるみたいで、前回のもてぎと比べても勢力図が違った感じで、僕たちはそれに乗り遅れてしまった部分がありました。もちろん、鈴鹿に向けていろいろと変更はして来たものの、結果として現れなかったのは残念でした」
阪口もそう語るように、チームメイトの坪井翔はQ1で敗退となり、P.MU/CERUMO・INGINGは揃って後方グリッドに沈む結果となり、課題は山積みのようだ。
「やっぱり2台で沈んでしまっているのが、キツいところではあります。コンディションが悪い中で結果は残せていましたけど、ドライコンディションで予選も決勝も進められているレースでは、速さを見せることが今シーズンはほとんどできていません。その点では他のチームと比べて乗り遅れてしまっている部分があるので、練り直す必要はありますけど……今の感じだと表彰台に絡める雰囲気はあまりないです。ただ、ポイントはしっかりと狙いたいです」
決勝に向けては、宮田や大津と同様に、阪口もルーキー・オブ・ザ・イヤーの意識は高くはない様子。課題となっているペース改善に努めるとした。
「ルーキー・オブ・ザ・イヤーとか、ポイントとかは、後ろからのスタートになるので、あまり意識する必要はないのかなと思っています。とにかく一生懸命走って、ひとつでも順位を上げられるようにしたいです。最終戦なので荒れるかもしれないし、戦略もバッチリと決めて、今僕たちが持っているスピードを発揮して、最上位で終われるようにするしかないです」
そして、前回の第6戦もてぎで初のドライバーズタイトルを獲得し、“新王者”として最終戦に臨んでいる野尻智紀(TEAM MUGEN)。朝のフリー走行ではトップタイムを記録し、今回も有力なポールポジション候補になるだろうと誰もが予想していた。しかし、当の本人は“一抹の不安”を抱えながらセッションを進めていたという。
「走り出した時は、それなりに良い手応えを感じていたのですけど……言葉で的確に説明するのが難しいですが、このまま路面コンディションが良くなってきた時に、うまく合わせこみができるか? という疑問が残るような仕上がり方というか、クルマの動き方でした」
「そのあたりが、フリー走行でもセッションが進むにつれて浮き彫りになってきて、そこからの詰めが、今回は足りなかったというのが正直なところでした。どちらかというとコマを進めるのが大変だった予選でした」
そのコメント通り、予選ではツインリンクもてぎでみせたようなライバルを圧倒するような速さは感じられず、Q2Bグループもノックアウト寸前の4番手で通過。Q3ではトップから0.3秒差の5番手で終えることとなった。
この最終戦では、新しいトライもしてきているという野尻だが、決勝に向けて方向性をもう一度精査し“レースペースを良くする”というところに注力したいと語った。
「今回、僕たちは新しい取り組みもしていて、それが予選に対してなかなか合わせ込むことができなかったところもありました。自分たちが、もともといた位置に立ち返るのかどうか……そのあたりも含めて今日の夜にしっかり検討したいなと思います」
「チームタイトルを考えるとダンディライアンの2台が上にいるので、何とかしたいですけど……彼らが手強いのは重々承知しています。ただ、決勝は何があるのか分からないので、まずはレースペースで、僕たちが誰よりも速く走れるような方向に持っていくしかない。明日は強いレースが見せて、良い争いができればとは思います」
それぞれ置かれている状況や、成し遂げなければいけないことは、チーム、ドライバーによって異なるが、共通していたのは“良い結果で今季を締めくくりたい”という思いだった。2021年の最終戦、果たして誰が最後に笑うことになるのか。決勝レースの行方から目が離せない。